グッドバイブスでご機嫌なイベントの創り方

一昨日、神戸で開催された拙著の読書会は、グッドバイブスを携えて参加いただいたみなさまのおかげもあり、奇跡といっていいほど、最高に「いい感じ」の時間になりました。

この会は、神戸在住で拙著の愛読者である奥野香織さんと、同じく拙著にご共感いただいた、ABD(アクティブブックダイアローグ)ファシリテーターのニシイサチコさんのおふたりが主催してくれたもので、私も構想の段階から仲間に入れていただきました。

つまりこの読書会は、偶然にも『グッドバイブス ご機嫌な仕事』に書かれたことを熟知する3人によって企画、運営されたものだということです。

今日は、そんな素敵な仲間たちと一緒に、準備から本番までのすべてのプロセスで体験したことを書いてみたいと思います。
題して「グッドバイブスでご機嫌なイベントを創る方法」です!

① 目標値を設定しない

まず、私たち3人がとくにこだわったのが、「定員を何人にするかを決めない」ということです。開催費用や読書会を成り立たせるための最低人数など、考え始めると気がかりなことは無数にあります。

けれども、そのような心配はいっさい捨てて、ただ、

「多くも少なくもない、ちょうどいい人数が集まるに決まっている!」

と確信して進めることにしました。

奥野さんとニシイさんも、この方針に合うように、机やイスを流動的に配置することで、どんな人数にも対応できる神戸ポートオアシスを選んでくれました。

もちろん、目標値がないからといって集客に手を抜くわけではありません。ギリギリまで3人ができることをすべてやり尽くします。

けれども、その際に「集客がイマイチだったらどうしよう?」という「恐れや不安」を抱かなくていいのが、このやり方の最大のメリットです。

「数値目標に尻を叩いてもらわなければ人は動かない」という性悪説に頼るよりも、「恐れや不安」のない状態に自分を置くほうが、私たちは本来のパフォーマスを発揮できるということです。

そして、当日の全参加者は12人。それは、費用の面でも、この読書会を「いい感じ」で進めるうえでも、まさに最適な人数でした。

② チームのメンバーを信じる

直接、顔を合わせることなく、オンラインで打ち合わせをしていると、ちょっとしたひと言が気に障ったり、自分の考えと異なる意見にイラついたりするものです。とくに、望ましくない状況に直面した際は要注意です。

けれども今回のメンバーのあいだでは、「意味づけを手放す」という「いい感じ」を生み出すために不可欠なメソッドが完璧に共有されていました。

ある発言に違和感をもったとしても、自分勝手な意味をつけずに「この人がそう言うなら、ベストな選択に違いない」と、とにかく100パーセント信じることを貫きます。

「どんな言葉を発したかよりも、どんな思いでそれを言ったかのほうが重要」というグッドバイブスの法則に則った私たちは、それぞれがほぼ初対面だったにも関わらず、一度ももめることなく、2次会を終えて最後の挨拶をするまで終始「いい感じ」でいられました。

③ 予想外の出来事に動じない

頭で予想することと現実で起こることが、必ずしも一致するとは限りません。むしろ、予測どおりに進まないのがこの世界の常です。

実際に、当日は予想外の出来事のオンパレードでした。そんなときに重要なのは、

「無理やり想定していた流れに戻そうとしない」

ことです。拙著でいうところの「いっさいの計画を手放すやり方」でもあります。

ABD読書会のファシリテーションを数多く手がけてきたニシイさんも、当初は綿密なタイムスケジュールを用意されていました。

けれども、予想外の出来事が起こるたびに、「これがまさに現実なのだ」と受け入て「いまここ」に対処し続けました。まさに「過去のデータによって現在を固定化しない」の実践です。

あとは、流れに逆らわずに、

「どうすれば、この状況をご機嫌にできるか?」

にフォーカスするだけです。

「途中で、この本ならではの流れがあると感じました。だから、時間割なども柔軟に変えていきました。本当はABDのルール上、そうしないほうがいいと思った場面もあり、葛藤もありましたが(笑)」

イベント後の2次会でそう話してくれたニシイさんの采配は、本当に「お見事!」のひと言に尽きます。

④ 自分の役割を限定しない

開催までのプロセスをとおして、3人の中には誰が言うでもなく、暗黙の「役割」が自然とできあがっていきました。著者である私は読書会のゲストと非力ながらも広告塔(笑)、ニシイさんはABDのファシリテーションとその準備一式、奥野さんは会の運営とおもてなしのお茶やお菓子の準備などです。

これだけでもすごいと思いますが、当日、私たちは、そのような担当の境目を超えて、ありとあらゆる仕事を柔軟にこなしました。もちろん、指示を出す人などひとりもいません。

「目の前に自分の役割らしきものが現れたら、即座にできることをやる」

という「役割」の意識が、それぞれを勝手に動かしていたように思います。

このような行動は、「この会を素晴らしいものにしたい!」「来ていただいた方々に最高の体験をもって帰ってほしい!」という思いとなって、会場全体に伝播していきます。

こうして、私たち3人の分身のようなイベントが完成しました。まさに、自分の思いを拡張して愛おしい何かを創り出す「広がる創造」が実現できたと思います。

イベントのプロからすると常識はずれなことばかりだと思いますが、バックナンバー「知らないという状態には無限の可能性がある」で書いたように、何も知らない素人だからできることのすごさを、あらためて実感する貴重な機会となりました。

奥野さん、ニシイさん、そしてお越しいただいた皆さん、素晴らしい時間を本当にありがとうございます!