2022年の1月11日に、新刊『グッドバイブス 攻撃のないコミュニケーション』が刊行されました。2019年の『グッドバイブス ご機嫌な仕事』以来、単独での出版は3年ぶりになります。
最近では緑の本と呼ばれるようになった『ご機嫌な仕事』には、頭ではなんとなくわかるものの、なかなか実感が伴わない「ひとつ意識」という難解なキーワードが登場します。
本書のテーマはコミュニケーションですが、その内容は「どうすれば、身体の単位で切り離された私たちがひとつになれるのか?」の疑問に対する、私からの具体的な回答になっています。
もし、あなたと私の頭の中がピタリと一致したら、おたがいに何らかの「つながり」を感じられるはずです。そして、私たちはみな、その状態を得る手段として「自分の考えや気持ちを相手に伝える」「相手の考えや気持ちを教えてもらう」能力を生まれながらにもっています。
この「ひとつ」になるためだけに行う対話を、本書では「純粋なコミュニケーション」と呼び、それを実現する方法をいくつかのステップに分けて詳細に綴りました。
執筆にあたって、とくにこだわった点が2つあります。まず、職場や家庭などのありきたりな場で交わされる身近な会話を題材にすることです。これによって、たとえば、部下が上司にドヤされているケースでは、怒るほうと怒られるほうの両者の心を感じながら、双方の問題をリアルに理解できるようになります。
各章のエピソードは、すべて雑誌の編集長やコンサル、現在のグッドバイブスの活動をとおして私が実際に体験した出来事に基づいています。それぞれの話に登場するキャラクターの心理も楽しんでもらえると思います。
2つめのこだわりは、人と話すのが苦手と感じるようになった「心」にアプローチすることです。先に書いたように、私たちはコミュニケーションをする生きものです。本来なら、そのような自然な行為をテクニックやノウハウで補う必要はないはずです。
緊張を解きほぐせば身体の動きがよくなるように、心の中にある「原因」を取り除けば本来の自分を存分に使えるようになります。この「ありのままの私」を出現させ、何もせずに話せるようになることが本書のゴールです。
今日は、そんな『グッドバイブス 攻撃のないコミュニケーション』のダイジェストをお届けしようと思います。
◎ 第1章 コミュニケーションと攻撃を見分ける方法
2019年のラグビーワールドカップに感化された上司の「みんな、ワンチームを目指そう!」の呼びかけに、強い嫌悪感を抱くスタッフの話から始まります。
私たちの多くは、心の奥底で「他の人とはひとつになりたくない!」と感じています。でも、生まれた瞬間にそんな思いを抱く人はいません。だとしたら、間違いなくワンチームに抵抗したい理由があるはずです。
それが何かを探っていくと「私はコミュニケーションに傷ついてきたんじゃなかった!」という事実が見えてきます。
◎ 第2章 純粋なコミュニケーションがあなたを救う
他の人との対話で苦い思いを数多く味わうと、いつしか心に強固な壁を築いて「人との関わりを最小限にして暮らしたい!」と思うようになります。
けれども、この作戦は間違いなく失敗に終わります。なぜならば、私たちはけっしてひとりでは生きていけないからです。だからといって、すぐに自分を傷つける人たちとの関係を修復するのは簡単ではありません。「もうこりごりだ」が本音でしょう。
でも、この葛藤を解決してくれる救いはまだ残されています。それが「純粋なコミュニケーション」です。
◎ 第3章 人と自分が違っていても恐がらなくていい
ここからは、他の人とのつながりを回復してくれる「純粋なコミュニケーション」を実現する方法を探っていきます。
最初のステップは「78億の違い」について考えることです。まずは、中規模な会社の3人の部長が激しくやり合う場面から、とくに悪意がないのに彼らがもめてしまう理由を解明します。
次に、私たちの身体を想定して、口と胃と足の三部位に先の三部長と同じ議論をやってもらいます。こちらはあくまで想像ですが、その平和なやりとりは、解決すべき問題が何かを教えてくれます。
◎ 第4章 本当は相手について何も知らないと認める
次に登場するのは、考え方も性格も正反対の夫婦です。ある日、海外旅行に行くことになった2人は、国内の空港で早くも壮絶なバトルを繰り広げます。
一見、誰もが「あるある!」と共感できるエピソードですが、よく観察してみると、他の人との会話がうまくいかないときに、誰もが例外なくやっているある習慣が見つかります。
なんと、私たちは目の前の現実の相手ではなく、自分の頭の中で作り出した「イリュージョン」と戦っていたのです!
◎ 第5章 後手と受け身のマジックが会話を愛に導く
私が数年前に体験した実話をもとに、ここまでにのステップを実践でどう活用するかを解説しています。
コミュニケーションにはいつでも「攻撃に転じるか? それともこのまま会話を続けるか?」の分岐点があります。そこに気づいて、自分が望むほうを選択し続ければ、ハッピーな結果が訪れます。
またこの章では、イリュージョンに惑わされないための重要なメソッドをいくつか紹介しています。常識とは真逆の発想に戸惑うかもしれませんが、このあとの章をたどっていくたびに、その意義や効果を確信できるようになると思います。
◎ 第6章 相手を信じて閃きのキャッチボールをする
私たちは幼少のころから「準備を怠るな!」と教えられてきました。たしかに、試験や遠足や運動会など、中身がおおよそ確定しているイベントなら、何を準備すればいいかもわかります。
では、他の人とのコミュニケーションはどうでしょう。2人の話がどんな方向に進み、どこでつまずき、最後にどう帰着するかを予想できるでしょうか。深く考えるまでもなく、まず不可能です。
それでも、私たちは先の教訓を守り、相手の話を聞きながら「次に何を返すか?」を準備しようとします。本章では、純粋なコミュニケーションの基本の型を完成させるために、この習慣が何を邪魔しているかをじっくりと探ります。
◎ 第7章 激怒する人が恐くなくなるマインドセット
ここからは、多くの人が「できれば人と関わりたくない」と思うようになる最大の原因に向き合います。突如として平和な生活に暗雲をもたらす「激怒する人」への対処法です。
強烈な恐れや不安を感じるこのやり取りには、テクニックやノウハウではまず太刀打ちできません。それよりも「怒っている人は本当に恐いのか?」の真相を知ることが重要です。
次章の実践編に入る前に、私たちが講じている防御のデメリットや、攻撃についてのさまざまな信念、そして言葉のもつ力について整理しておきます。
◎ 第8章 攻撃モードで挑んでくる人に対処する方法
「瞬間湯沸かし器」と呼ばれるキレやすい上司を相手に、自分を攻撃してくる人への対処法を、いくつかのステップに分けて解説しています。
だからといって、逃げたり適当にかわしたり、同じ攻撃で応戦したりするわけではありません。それではこの問題の根本的な解決は望めないからです。
そうではなく、憤りや理不尽さを感じることなく、嫌な思いもせずに、相手の怒りを「溶かす」方法にトライします。これによって、あなたのコミュニケーションに対する恐れや不安はほぼゼロになるはずです。
◎ 第9章 大勢を相手に話す緊張からも開放されたい
本書の最後は、プレゼンや報告会などの多数を相手にする場面で、どうすればリラックスして、いつもの自分の実力を発揮できるかを考えます。
私たちが緊張するとき、心の中で何が起きているのかをしっかりと認識しておけば、心臓のバクバクや声のうわずりを解消できます。ここでも重要なキーワードは「ひとつ」です。
また、私がセミナーや講演、社員研修などで実践している最強のメソッド「空間になる」を紹介するとともに、本書のゴール「何もしないありのままの自分を登場させる方法」をまとめています。
◎ エピローグ 自分と他の人と世界を無条件で信頼する
あとがきでは、これまであまり公表してこなかった、私の黒歴史を書いてみましたw この本に書いたことと真逆の生き方をしながら、どれだけひどいめに遭ってきたかを正直に綴っています。
そうして、たどり着いた結論は「自分を、他の人とこの世界の調和から切り離してはいけない!」でした。あれから10年以上かけて行ってきた修正の数々が、この一冊にまとめられているのだと思います。
以上が、新刊『グッドバイブス 攻撃のないコミュニケーション』の概要です。いつになく内容をぼやかして書きましたが、詳細を隠したいのではなく、本書を楽しく読んでいただくために、ネタバレしたくないというのが正直なところですw
もちろん、中身は小説でもフィクションでもありません。でも、私の中には「純粋なコミュニケーション」が生まれるまでの、それなりに壮大な物語を書いた手応えがあります。そんな感じで読んでいただければ幸いです!
『攻撃のないコミュニケーション』の実践プログラム「コミュトレ」を開催します!
次の2つのコミュニケーションを自由に楽に、そして緊張やプレッシャーもなく実践するための「グッドバイブス・コミュニケーショントレーニング」(通称コミュトレ)を開催しています。
・ 会話や会議など、リアルタイムで行う言葉のやり取り。
・ プレゼンテーションやレポートの発表、情報発信など、多数に向けて行う表現。
本プログラムは、新刊『攻撃のないコミュニケーション』を教科書として、その内容を確実にマスターできる「知識編」と、実際に参加者同士で会話したり、考えを発表しあったりしながら、知識編のメソッドを試せる「実践編」の二部構成になっています。
それぞれの開催日は次のとおりです。
知識編 1月21日金曜日 19時〜21時30分
実践編 1月23日日曜日 14時〜20時
どちらか一方のお申し込みもできますが、実践編は知識編を終了後に受講できます。両日をお申し込みの方には『攻撃のないコミュニケーション』をプレゼントいたします。
本書を読んで「もっとこのメソッドを極めたい!」と思った方は、ぜひトライしてみてください。
プログラムの詳細とお申し込みはこちら!「グッドバイブス・コミュニケーショントレーニング 3」
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