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「意識」を使ってよくない思考を止める方法

昨日に続いて今日も、私たちに「恐れや不安」を抱かせ、負の感情をもたらす3つのイリュージョン、

① 意味づけ
② 過去と未来の妄想
③ 罪悪感

について、「やめたほうがいいと頭ではわかっているが、どうしてもやってしまう」ときの対処法について書きます。

わかりやすいように、よくあるこんな状況を想定しておきましょう。

あなたは、つい先ほどまでかなりヘビーな会議に出席していました。議題は、来期の売り上げ目標や、主力製品として何を打ち出していくかなど、今後の動向を決定する重要な案件ばかりです。

この中で、あなたは数人の同僚と激論を交わしました。彼らの意見は、自分の保身のためとしか思えない言い分や、後ろ向きな話題が多く、それを耳にするたびにあなたはひどく失望させられます。

それでも、けっして熱くならず、できるだけ冷静に対話しようと努力しましたが、相手はなぜかあなたの話をネガティブに受けとり、すぐに不毛な言い争いが始まってしまうのです。

数時間後、部長の「日を改めて仕切り直そう」のひと声で会議は終了となり、あなたはかなりモヤモヤしながら会社を後にしました。その気持ちは、「悲しい」「虚しい」「なんで?」をごちゃ混ぜにした感じです。

駅に向かう道のりでも、電車に乗ってからも、あの忌まわしい会議のことが頭から離れません。

ふと気づくと、

「どうして彼らは、ああいうふうにしか考えられないのだろう?」
「そうか、あのときこう言えば、彼らの主張に対抗できたのに!」
「次の会議では、このあたりから攻めてみたらいんじゃないか?」
「いや、アイツらがいるかぎり、いいところには着地しないよ!」

などの、不満や後悔、憤りばかりを生む「負の妄想」を繰り返しています。

ときには、会議の様子を思い浮かべながら、先にうまく反論できなかったことを作文しなおして相手にぶつける映像を、頭の中で延々と再生してしまいます。

まさに、3大イリュージョンの中でも、もっとも手放すのが困難な、

② 過去と未来の妄想

をやっている状態です。

おそらく、自宅に到着してもこの妄想が止まることはないでしょう。風呂に入っていても、ソファーで休んでいても、気を紛らわそうと何かを始めようとしても、すぐにあの会議の様子がフラッシュバックしてきます。

そればかりか、この時点であなたの身体は鉛のように重くなっています。エネルギーの大半を失ったようなけだるさを感じ、何分かおきに大きなため息をつきます。もちろん、家族の話などほとんど耳には入ってきません。

その様子はまるで、

「白昼夢を見ているような感じ」

といってもいいでしょう。

このイリュージョンから抜け出すためには、まず、自分に対して、

「いいかげんに目を覚ませ!」

と呼びかけてください。起きているのに夢を見ている自分を一喝するのです。
そのうえで、次の事実をあなた自身にしっかりと再確認させます。

「いま我が家で、先の会議についてあれこれ考えることには何の意味もない!」

せっかくのリラックスできる時間、家族との団らんの時間、頭を休められる時間に、妄想することで自分を痛めつけるメリットなどいっさいないことを、完全に認めてください。

ここから、過去や未来についての思考を手放すステップを始めます。先に書いたように、あなたはすでに疲れ切っています。けれども、そこで最後の力を振りしぼって、こう信じてください。

「考えることをやめさえすれば、このだるさも倦怠感もすぐに回復する!」

息を深く吸うことで、自然に背筋が伸びます。そのままの状態で、あえて会議のことを頭に思い浮かべてください。すぐに不快な思いでいっぱいになるはずです。

その瞬間に、

「思考よ止まれ!」

と頭でつぶやいてみます。

これで、数秒間は会議の映像が頭から消え去るでしょう。でも、すぐにまた妄想が始まってしまいます。この、ぶり返す感覚を忘れずに覚えていてください。

いま、あなたは会議のことをあれこれと考える「思考」を使って、「思考よ止まれ!」と考えました。脳は基本的にシングルタスクです。同時に2つ以上の事柄について考えることはできません。

当然、「思考よ止まれ!」と考えているときには、会議のことは消えてくれます。けれども、同じ思考を使うこの方法では、「思考よ止まれ!」と「妄想」のせめぎ合いになってしまうのです。

そしてこの戦いに勝利するのは、九分九厘「妄想」です。なぜならば、

「思考は、より情報が多く、より複雑なテーマのほうに惹かれてしまう」

からです。

つい先ほどまで、何時間もかけて議論していた会議の情報は膨大です。解決したいと思う内容も多岐にわたります。

それに比べれば、「思考よ止まれ!」のつぶやきなど単純すぎて、ホコリやチリのように、またたく間に吹き飛ばされてしまうのです。

これこそが、頭で手放そう、手放そうとどれだけ「考え」ても、妄想にまるで歯が立たない最大の理由です。

そこで、拙著『グッドバイブス ご機嫌な仕事』で書いた、

「大きな自分」

の出番です。

「大きな自分」は、このブログにもよく登場する、

「意識」

と同じものです。

そして「意識」には、

「自分の考えていることを客観的に眺めることができる」

という、私たちとってはとてもありがたい特技があります。

思考に思考で対抗しようとしても勝ち目はありません。思考を手放すためには、「意識」に活躍してもらうしかないのです。

もう一度、深く息を吸って背筋を伸ばしたまま、会議のことを考えます。あのムカつく映像が浮かんできたら、頭の上のほうに「意識」がある様子をイメージして、「意識」で思考を眺めてみてください。

その瞬間に考えがストップすれば、あなたは「意識」を使えています。自習時間に騒いでいた子どもが、ドアを開けた先生に「うるさい!」と怒鳴られて静まり返るように、思考がおとなしくなれば大成功です。

人によって微妙に異なりますが、しばらくすると、「意識」をイメージした場所が白く光っているいるように感じたり、少しだけ圧がかかっているように感じたりと、何らかの変化が現れるはずです。

その部分に向けて、間髪入れずにこう質問してください。

「私は平安な心でいたいので、妄想をしたくありません。どうか、私の思考を黙らせる方法を教えてください!」

「意識」の使い方は「思考」とはまるで違います。積極的に考えようとするのではなく、知りたいことを投げかけておいて、ひたすらぼーっと待つようにします。

また、私たちは母国語の文章で「考え」ますが、「意識」からのメッセージは言語化されていません。それはたいてい、映像や画像やキーワードなどのヒントのような形でやってきます。

「意識」が答えを出すまでにはそれなりに時間もかかります。しばらくは何も見えないかもしれませんが、最低でも5分くらいは我慢していてください。

ただ、ここでは「思考を黙らせる方法」を閃かなくても、まったく気にする必要はありません。あなたが「意識」に質問して答えを待っているあいだに、例の妄想はピタッと止まってしまうからです。これこそが、当初の目的でした。

もしこの間に思考が動き出したら、頭の上に「意識」がある様子をイメージするところに戻って、もう一度、先の質問をし直してください。

慣れるまではこれを何度も繰り返すことになると思いますが、あきらめずに続けていれば、次第に妄想の力が弱まり、驚くほど身も心も軽くなります。

うまくいけば、会議のことなどすっかり忘れて、平安な眠りにつくこともできます。ぜひ、ピンチのときには試してみてください。

Photo by Satoshi Otsuka.