私たちの本質は身体かそれともマインドか?

嫌な出来事や、他の人の望ましくない言動に遭遇するとき、私たちは未来の予測や「意味づけ」などの妄想を行い、「恐れや不安」を抱くようになります。

その目的はただひとつ、

「自分の身を守るため」

です。

出来事に「恐れや不安」を感じれば危機感をもち、目の前の問題に真摯に対処できる。人に「恐れや不安」を感じれば、油断することなく相手に向き合える。だから、できるだけ最悪の事態を想像しておくほうが安全なんだ!

一見、わるくなさそうな戦略ですが、その副作用として私たちは、怒りや憤りなどの負の感情を抱くか、とめどない懸念を抱えるかして、平安な心を失ってしまいます。

このような自分を痛めつけるやり方を手放すためには、ピンチと思えるような場面で、反射的に防御しようとする姿勢を改めるしかありません。

そしてその修正は、

「私はけっして傷つかない存在である!」

という事実を心から受け入れることで、より簡単に行えるようになります。

そこで今日は、どうすれば自分自身をそのように認識できるかについて書いてみようと思います。

◎「フィジカル」と「ボディー」の反対は何?

最初にいくつかのクイズを出します。ヒントは、

「答えはすべて同じだが、それにどのような名前をつけるかはあなたの自由」

としておきましょう。ではいきます。

① いま話題のソーシャルディスタンスとは、フィジカルディスタンス(身体的な距離)を指します。高齢の両親を案じて、この時期にあえて帰省しなかったとしたら、その人は父母とのフィジカルディスタンスを保ったことになります。

でもそれは、両親を大切に思うからこその行動です。ということは、フィジカルではない「あるもの」の距離はふだんよりも縮まっていると見ることもできます。では、その「あるもの」とは何でしょう?

② ある女性に恋人ができました。しばらくはいい感じでつき合っていましたが、半年ほど経ったころ、「彼氏は自分とのセックスにしか興味がないのでは?」と疑い始めます。

そこで彼女は「あなたは私の身体が目当てなの?」と質問しました。このとき彼女は相手に、身体ではなく「あなたのあるものを愛している」と答えてくれることを望んでいるはずです。では、その「あるもの」とは何でしょう?

③ 私たちはよく「気力も体力も充実しているよ!」と言います。また、昔話の主人公には「気は優しくて力もち」というキャラクターが登場します。この「気力」と「気」が、同じ「あるもの」を指しているとしたら、それは何でしょう?

クイズ自体はけっして難しくありません。それをどう表現するかだけが悩みどころなはずです。あなたの答えはどうだったでしょうか。

ちなみに、私の場合は、

「心、気持ち、精神、魂、霊、ソウル、スピリット」

といった言葉が浮かびました。

このうちのどれかを選んで話を進めたいのですが、とてもやっかいなことに、すべての言葉に私たちは何らかの「意味づけ」をしてしまっています。

「心」と「気持ち」では、何か道徳的な方向に行ってしまいそうです。「精神」や「スピリット」ならやはり、スピリチュアル系の話をイメージするでしょう。「魂」や「霊」を使えば宗教に寄っているように感じるかもしれません。

個人的には、子どものころからスピリチュアルにも宗教にも多大な興味がありました。関連の本も数え切れないほど読んでいるし、私たち人間にとってはどちらも必要な智恵だと考えています。

ただ、この話はそういう既存の色をつけずに、できるだけフラットな状態から出発したいのです。

そこで、なるべく先入観の伴わなそうな、

「マインド」(Mind)

という言葉を、先のクイズの答えとしたいと思います。

マインドの反対はもちろんボディー(身体)です。だとしたら、①のフィジカルディスタンスの反対はメンタルディスタンスということになります。帰省を延期したこの人と両親のボディーは離れていても、その思いによってマインドの距離はとても近くなっているわけです。

②の女性が求めていたのはもちろん、彼女のマインドを愛してくれることです。同じように、③の「気力」や「気」にあたるのがマインドで、「体力」「力もち」はすべてボディーを象徴しています。

実はこのクイズに答えることで、とても大切な事実に気づくことができます。少なくとも、

「私たちは、目に見える身体とは別の、見えないマインドが自分の中にあると認識している」

ことだけはたしかなのです。

◎ 自分の本質がマインドなら傷つくことはない

拙著『グッドバイブス ご機嫌な仕事』の第3章で私は、

「私の目には、この世界が少しずつだけれどもしあわせな方向に変化しているように映ります」
『グッドバイブス ご機嫌な仕事』

と書きました。

経済や環境など、「しあわせな方向」にはいろいろな要素が含まれています。でも、歴史を振り返ってみると、次のような指標によってもその変化を測れると私は考えます。

「人間という存在をボディーとみなすか、マインドとみなすかの度合い」

男性はマッチョでケンカが強いほど、女性なら美人でグラマーなほど、その人の価値が高いと見るのがボディー志向です。「頭がいい」という基準も、身体の一部である脳の働きを評価しているという意味で、やはりボディー寄りと見ていいでしょう。

たしかに、私が子どもだった昭和のころには、このような価値観が全盛だったように思います。洋の東西を問わず、映画に出てくるのはきまって肉体派の男優や女優でした。まさにセックスシンボルの時代です。

2020年の現在も、ボディー志向が完全になくなったわけではありませんが、少なくとも以前よりはマインドのほうに価値を見出す傾向に変わってきています。たとえば、教育の現場で「身体で覚えろ!」の体罰が禁じられたのも、この流れの一貫です。

さらにいえば、この世界から次第に差別がなくなりつつあるのも、「人間という存在をボディーとみなすか、マインドとみなすかの度合い」に大きく関わっています。

人種差別、男女の差別、病気や肉体の機能による差別、LGBTへの差別。あらゆる差別が、身体に対する偏見や嫌悪感から生まれていることに注目してください。学校などでのいじめもまたしかりです。

つまり、もし私たちが一点の曇りもなく心の底から、

「人間の本質はボディーではなく、マインドである!」

と認識できたなら、この世から一瞬にして差別という概念が消え去るということです。

少し視点を変えてみましょう。いま、新型コロナウイルスの感染拡大によって、私たちは自宅待機を余儀なくされています。そこで振り返ってみてほしいのですが、この一か月ほどのあいだ、あなたは以前よりもお金を遣わなくなっていないでしょうか。

答えが「YES!」だとしたら、さらに思い出してみてください。コロナ以前に、外出したあなたは何にもっとも多くのお金を費やしていたでしょうか?

おそらく、答えのほとんどが、

「身体を美しく見せるためのものか、身体に刺激を与えるもの」

であったはずです。

もちろんここで、金輪際、そんなものにお金をかけるななどと言うつもりはありません(笑)。私はこれからも美容院に行くし、服や靴も買い続けるでしょう。

でも、自宅で食事以外の、身体をどうこうする系の製品をほとんど買わずに暮らすいま、もし「それほどしあわせは損なわれていない」と感じるなら、

「私の本質がマインドなら、もうそれほどボディーに興味をもつ必要はないのか?」

と一考してみる余地はあります。

以前から私は、このブログや拙著『グッドバイブス 安心力で生きる』などで、「私たちの本体は身体ではなく意識である」と主張してきました。ここでいう「意識」はマインドとまったく同じものを指しています。
※ 関連記事は「自我と意識」(ボディーとマインド)のカテゴリーで一覧できます。

つまり、私が提案したいのは、

「自分の本体を形のある物質や肉の塊ではなく、形のないマインドとみなす」

ということです。

モノである身体は外的な要因によって傷つき、やがて朽ち果てていきます。このように自分を捉えている限り、冒頭に書いた「自分の身を守る」ための妄想を手放せるはずがありません。

そこで、マインドこそが自分であると認識を大きく変えて、日々の生活を送ってみるのです。あなたがモノではなく、形もないマインドなら、傷ついたり損なわれたりする心配をしなくてすみます。

「そんなことが本当にできるの?」と思うかもしれません。たしかに、現実として身体を目にしながら、見えないマインドを自分とみなすのは簡単ではないでしょう。

でも私は、修行やトレーニングなど、日常を超越した特別な方法に頼らずに、日々の暮らしの中でその感覚を得ることは不可能ではないと感じています。

片方に興味や価値を見出さないようになれば、もう片方に重心が移動します。ボディーに対する「恐れや不安」をもたないように意識していれば、自然とマインドが前面に出てくるようにもなります。

ほかにもヒントはたくさんあります。

・ 私たちは先のクイズに、それほど無理なく答えを出せる。
・ 時代は確実にボディー志向からマインド志向へと変わりつつある。
・ 今回の新型コロナウイルスにも、そうするほうがベターという示唆を感じないか?
・ 他の人をボディーとして見るのと、マインドとして見るのとどちらがしあわせな選択か?
・ 自分をボディーとして見られるのと、マインドとして見られるのと、どちらが嬉しいか?
・ 老いや死という逃れられない宿命に対して、どちらでいるほうが恐くないか?
・ いじめや差別といった問題を、根本的に解決してくれるのはどちらの認識か?

科学的な根拠というよりは、私たちの感性の問題です。実は、とても単純な選択なのかもしれないのです。

Photo by Satoshi Otsuka.


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