行動と衝動のループでしあわせな役割を創る

拙著『グッドバイブス ご機嫌な仕事』で「しあわせな役割」について書きました。私はそれを「自分の個性から導き出された役割」すなわち、

「個性と役割のベストマッチング」

と定義しています。

さらに、そのような「しあわせな役割」は私たちにとって、

「天職のようなもの」

とも書いています。

ただ、この「天職」という言葉を、「赤い糸で結ばれた運命の人」や「ソウルメイト」などと同じように、「この世に生まれたときからすでに決まっているもの」と捉えたとしたら、それは大きな誤解です。

もし「天職」がすでに決定しているなら、私たちはそれを探しに行かなくてはなりません。実際に「自分探し」や「強み探し」と称して、「天職」のような何かを必死に探そうとしている人も少なくないでしょう。

けれども私が思うに、その探索の旅が終わることはありません。なぜならば、

「しあわせな役割とは、探すものではなく、自分で創造するもの」

だからです。

自分で書いていない本や、作ったことがない本棚を探そうとしても見つかるはずがありません。「しあわせな役割」もまったく同じです。それはあなたが行動するたびに、少しずつ、少しずつ形作られていくのです。

ではどうやって天職のような「しあわせな役割」を創造すればいいのでしょうか。これが今日のテーマです。拙著でもその方法は書きましたが、ここではまた別の角度からより実践的な話をしようと思います。

まずは大原則から共有しておきましょう。

「しあわせな役割の創造は、ひとつの行動から始まる」

ということです。

一般的には、たとえば何かの夢を実現しようとする場合、最初に目標やゴールを掲げ、それを起点にするはずです。目指すところが明確になって初めて、「そのために何をすればいいか?」の答えである、具体的な行動が決まるという発想です。

一見、理にかなったやり方に見えますが、残念なことに私たちは自分について本当のことを何もわかっていません。

冒頭に書いたように「しあわせな役割」とは「個性と役割のベストマッチング」ですが、もっとも肝心な自分の「個性」も、まさに私たちが把握できていないことのひとつなのです。

「まさか! 自分のことを知らないはずがない!」と思った人はぜひ、バックナンバー「正しさを手放せばあらゆる悩みは消える」や「自分に対して下した判断や結論を取り消そう」を読んでみてください。

もし、自分について本当のことがわかっていないとしたら、「10年後にはこうなりたい!」と掲げた内容が、はたして本当に「しあわせな役割」と言えるのかは、かなり怪しくなってくると思うのですが、いかがでしょう。

そこで、そのような不確かな目標やゴールはいったん手放して、もっと信頼できる「あるもの」を起点に据えることにします。
その「あるもの」とは、

①「いま、これをやりたい! と強く感じているひとつの行動」
②「いま、これをやってくれ! と頼まれたひとつの行動」

の2つです。

行動の中身はなんでもかまいません。あなたがいま「やりたい!」と思うことか、あなたが誰かに「やってくれ!」と頼まれたことか、実際に目の前にあるほうをただちに実行してください。

どちらかを遂行し終わったら、すかさず次のことを自問します。

「この行動を終えたあと、自分は次に何をやりたい?」

②の場合はとくに明確な答えが浮かばないこともあります。そんなときは、何もせずにまた次の依頼を待ちましょう。

①の行動のあとには、ほぼ100パーセント「次にやりたいこと」を思いつくはずです。できるだけ早いタイミングでそれを実行してください。終了したらまた先の問いに戻ります。

「ひとつの行動→次に何をやりたい?→ひとつの行動→次に何をやりたい?」

これを延々とループさせれば、あなたの「しあわせな役割」が創られていきます。

「なんともいきあたりばったりで、計画性がまったくないやり方じゃないか!」と思うかもしれません。まさにそのとおりです。あえて「計画」という概念を排除しているのです。余計なことを考える隙をなくしているといってもいいでしょう。

ぜひ、このプロセスには「想像」がいっさい含まれていないことに注目してください。先の「しあわせな役割の創造ループ」にあるのは、

「現実としての行動」と「現実にあなたの心に生じた衝動」

だけです。すべてが現実だからこそ、全幅の信頼を寄せられるのです。

残念ながら、多くの人が信仰している目標やゴールは「想像」です。では「想像」から生まれた行動計画とは何でしょう。文字どおり、想像の産物の「理想」や「空論」ではないでしょうか。

もちろんそこでは、リアルタイムに刻々と移り変わる私たちの「気分」や「フィーリング」などはまったく考慮されていません。そんなものを予想したり計画したりすることなど不可能だからです。

当然ですが、ある瞬間に「これがやりたい!」と感じた強い衝動よりも、あらかじめ決められた予定のほうが重要度は高いと判断されます。この自制こそが夢を叶える力というわけです。

想像の「なりたい自分」を実現するために、早起きをする、早朝ジョギングをする、複数の習い事やセミナーに通う、ダイエットをする、食べたいものを制限する、ブランドイメージや安定性の高い職に就けるよう自分を磨く。

すべてを最高の気分で実行できているなら何も問題はありません。けれども、もし自分で決めたこれらの行動計画が、ほかでもないあなた自身を苦しめ、それが理由で実行できないことが増え続けているとしたらどうでしょう。

もしかしたら私たちは、

「自分で創り出したおかしな世界の犠牲者になっている」

と言えないでしょうか。

そもそも、自分にできないことはどれだけ努力しても実行できません。本当はやりたくないことも長続きしません。気分によっては昨日できたことが、なぜか今日はまったくできないということも頻繁に起こります。

では、どうやって「できるかできないか?」を知ればいいのでしょうか。方法はたったひとつしかありません。

「実行できるかどうかやってみるしかない」

のです。

「ひとつの行動」が実行されれば、間違いなくあなたの現実がひとつ変化します。行動する前とそのあとでは、確実に現実が変わっているということです。この変化だけが唯一のリアルです。

それを目撃して体験したあなたにどんな「衝動」が生まれるのか。そのままいい感じで続けたいと思うか、それともやめたくなるか、あるいは若干の修正を加えようとするか。

このフィーリングに素直に、正直に、誠実に向き合うことによってのみ、「しあわせな役割」の創造が可能になると私は考えます。

「しあわせな役割」はあなただけの大切な居場所であり、誰かに自慢したり見せびらかしたりするようなものではありません。ぜひ、目標やゴールと一緒に他人との比較や常識的な価値観も手放してください。

この旅は「どこにたどり着くかわからない」からこそおもしろいのです。

Photo by Satoshi Otsuka.


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