バックナンバー「超越感や卓越感を手放し、見下すのをやめる」と「ひとりだけではグッドバイブスは完結しない」で、グッドバイブスを確かなものにしていく3つのプロセスについて書きました。
第1段階:ひとりのときはグッドバイブスでいられる。
第2段階:周囲の人々の言動や、思いがけぬ出来事に影響されることなく、いつでもグッドバイブスでいられる。
第3段階:自分のグッドバイブスを周囲の人々に伝播できる。
最近、私はこれを武道の帯にたとえて、白帯、茶帯、黒帯と呼んでいます(笑)。
第一段階は、次のグッドバイブスのメカニズムを知り、
・「意味づけ」や「未来の予測」が妄想であること。
・ 妄想によって私たちは「恐れや不安」を抱くこと。
・「恐れや不安」がなければ「平安な心」でいられること。
自分の妄想に気づく習慣をつけるフェーズです。
そして、「私は本当のことは何も知らない」という大前提を受け入れるとともに、
「そうでない可能性があるにも関わらず、そうであると結論づけること」
「自分は絶対に正しいという思い込み」
この2つを手放すことで、「平安な心」をそれなりに維持できるようになれば、白帯ゲットということになります。
今日は次のステップ、茶帯の第2段階をクリアするためのポイントについて書いてみようと思います。
空手でいえば、第1段階はひとりでひたすら「型」を練習するのに似ています。第2段階はけっして戦うわけではありませんが、相手が登場するという意味で「組み手」のようなものだと思ってください。
先に書いたように、ここでの課題は「どうすれば、周囲の人々の言動や、思いがけぬ出来事に影響されることなく、いつでもグッドバイブスでいられるか?」です。
ただし、この文言を次のように解釈したとしたら、それは大きな誤解です。
「ムカつく人、嫌な人、ダメな人、バカな人から自分を守れるようになる」
この判断には「グッドバイブスな自分」(いろいろわかっている自分)と、「バッドバイブスな人々」(何もわかっていない他人)という「分離」が生じています。
グッドバイブスとはすなわち、自他の区別のない「ひとつ意識」をもつ状態でもあります。だとすれば、ここで行う「組み手」の目的は対立することではなく、
「自分と相手がひとつであると感じられること」
でなくてはつじつまが合いません。
そして、「ひとつ」であるためには「自他の利害が一致する」ことが必須です。当然ですが、激怒した相手をそのまま放置しておいて、あなただけがグッドバイブスでいようとするならば、この条件を満たすことはできません。
ぜひ、次のように捉えてください。
「あなたがグッドバイブスでいるために、相手もグッドバイブスに誘う」
自分を防御しようとするのではなく、あなたの「いい感じ」を相手のために使うのです。
その具体的な方法は第1段階で習得ずみです。グッドバイブスを妨げる要因である、
「相手の恐れや不安を取り除くこと」
です。
拙著『グッドバイブス ご機嫌な仕事』に、既読スルーから妄想を膨らませて、望ましくない現実を創造した彼氏の話が出てきます。これを例に「相手の恐れや不安を取り除く」とはどういうことかを見ていきましょう。
白帯段階はあなたがこの彼氏の立場にいます。自分の送ったメールに既読がついているのに、相手からなかなか返事が来ません。
ふつうに対応するなら、「何かあったのか?」「自分が書いたことが気に障ったのか?」「自分の依頼を断る理由を考えているのだろうか?」と、あれこれ妄想して心を揺らしまくるところです。
けれどもあなたは、すでにどうすればいいかを知っています。「恐れや不安」を生むような妄想を手放して「平安な心」を保てばいいのです。
茶帯段階では、あなたはこの反対の立場にいると思ってください。誰かから来たメールを読んだにも関わらず、あなたがまだ返信をせずにいるということです。実際にいろいろと立て込んでいて、できれば落ち着くのを待って返事を書きたいと思っています。
さて、あなたは自他ともにグッドバイブスでいるために、この状況にどう対処するでしょうか。もしかしたら、次のように考えてしまうかもしれません。
「私の既読スルーに妄想を抱かないように、相手が自分で努力すべきだろう」
これも私たちがよくやりがちな誤解のひとつです。書籍や何かで「うまくいくやり方」を知ったら、他の人もそうすべきだと思いたくなるあの感じです。
ぜひ、
「グッドバイブスのメカニズムを原理原則のルールのようなものと捉えない」
ようにしてください。
「意味づけ」や「未来の予測」「妄想」などの考え方を相手に強要するのではなく、ただ、自分がグッドバイブスでいることのメリットを活かすのです。
現在のゴールは「相手の恐れや不安を取り除くこと」です。だとすれば、あなたの既読スルーをどうするかの答えはこうなるはずです。
「相手が余計な妄想を抱かないように、なる早でひとことでも返信しておこう」
この行動を「優しさ」や「思いやり」といったありふれた言葉で現すこともできます。けれどもここでは、なぜそのような「優しさ」や「思いやり」を発揮できたのかの理由に注目してください。
それはほかでもない、
「あなたが平安な心、グッドバイブスでいたから」
ではないでしょうか。
これが第2段階における「組み手」の基本動作です。第1段階で「型」のメカニズムを知ったからこそ、相手が「恐れや不安」を抱くプロセスも熟知しています。であるならば、あなたはその防波堤のような役割も果たせるということです。
そして、茶帯を獲得するための最大のハードルは、「それでは相手に甘すぎるんじゃないか?」「何で自分がそこまでやらなきゃいけないの?」「損な役回りじゃないか?」という疑念に打ち克つことにあります。
まさに、
「与えることと、赦すことを学ぶ」
フェーズと言ってもいいでしょう。
それは同時に、「与えた瞬間に与えられる」「赦せば自分も赦される」という、実行しなければ永遠にわからない価値を体験することであり、あなたのグッドバイブスを揺るぎないものにするステップでもあるのです。
Photo by Satoshi Otsuka.
嫌な思いにさせられた人へ、与えること、赦すことってなかなか出来ません。でも、そんな人には近づかず(学校や仕事でそうはいかなくても出来る限り)、意味付けを止めることで、いつの間にかそんな人にも良い影響を及ぼしていることがあります。そんな関係で良いと思います。少しづつ、少しづつ。www
いつもコメントありがとうございます!
そうですね。少しずつでいいと思います!