超越感や卓越感を手放し、見下すのをやめる

「いい感じ」の思いを乗せた波「グッドバイブス」は、自分の仕事から完全無欠のしあわせを得るために、なくてはならない大切な土台です。

私たちがそんな「グッドバイブス」を確かなものにしていくプロセスは、大きく次の3つの段階を経ることになります。

第1段階:ひとりのときはグッドバイブスでいられる。
第2段階:周囲の人々の言動や、思いがけぬ出来事に影響されることなく、いつでもグッドバイブスでいられる。
第3段階:自分のグッドバイブスを周囲の人々に伝播できる。

もちろん、第1段階だけでも、それをクリアするだけで世界の見え方は大きく変わってきます。思い悩んだり怒りに駆られたりしながら、エネルギーを失うことも少なくなるでしょう。

けれども、やはり目指したいのは第2段階の周囲に影響されない揺るぎなさ、そして「グッドバイブスの伝播」の地点です。もし、この第3段階までたどり着ければ、

「あなたのまわりにいる人々を次々とグッドバイブスの世界に招くことができる」

ようになります。

ただ、実践してみればわかりますが、それぞれの段階の前には、いつでも大きな壁が立ちはだかっているように見えます。「自分だけならなんとかなるけれど、他人がからむとどうも難しくなる」と感じる人も少なくないでしょう。

そこで今日は、第2段階や第3段階に進むにあたって、誰もが陥りがちな落とし穴について書いてみようと思います。

まず、「いい感じ」でいられるようになったあなたが、まわりの人たちを見ながらこんなことを感じていないか確認してください。

「ああ、この人たちがもっとグッドバイブスなら世界は平和になるのに……」

何かの悩みを抱えたり、人生について疑問をもったり、自分に課題があると感じたりしたとき、私たちは、書籍やセミナー、信頼を寄せる先輩の話などを騒動員しながら、その解決策を探ろうとします。

運がよければ、それまで自分を覆っていた霧がパーッと晴れていくような、画期的なアイデアにたどり着けることがあります。「そうか! これだったんだ!」と、まさに青天の霹靂のような手応えを感じるあの瞬間です。

そんなとき、生まれ変わったような感覚に包まれながら、私たちは、

「つい先ほどまで、そのような解決策を知らない自分がいた」

という事実をすっかり忘れ去ってしまうのです。気分は「ずっと以前から私はそのことを熟知して生きていた」といったところでしょうか。

当然ですが、そのような状態で自分の周囲を見回したとき、私たちはこう感じずにはおれなくなります。

「なんでこの人たちは、こんな簡単なことも理解できないんだろう?」

ストレートに言うならばこれは、自分自身を「超越した」「卓越した」存在とみなし、かつては自分も知らなかったことであるにも関わらず、それに気づかない人たちを見下す行為にほかなりません。

このとき、私たちの中に、

「こちら側の(知っている)人間 VS あちら側の(気づいていない)人間」

という「分離」や「分断」が起こっているという重大な事実に注目してください。

「あちら側の人間」は当然、自分にとってのエイリアンです。このような捉え方を、拙著『グッドバイブス ご機嫌な仕事』では「バラバラ意識」と呼びました。

では、第1段階をクリアしたあなたが、自分と他人が切り離されて個別に存在していると感じる「バラバラ意識」をもって、第2段階にトライする様子をイメージしてみてください。

おそらく、自分とは異質の怪物たちによって、あなたの「グッドバイブス」が次々と破壊されていく場面しか思い浮かばないはずです。これが、先に書いた各段階の前に立ちはだかる大きな壁の正体です。

この壁を壊すためには、

「グッドバイブスでいられなかったかつての自分と、なぜそうだったかの理由を思い出し、自分のまわりの人たちがいま、以前の自分と同じ状態にいることを赦す」

以外に方法はありません。

もし、それが難しいと感じるなら、

「あなたは、グッドバイブスでなかった以前の自分を赦していない」

のかもしれません。まずはそんな自分を赦し、それと同じやり方で他人を赦してください。

最終地点は、あなたに関わるすべての人を「グッドバイブス」の世界に招待することです。どんなときでも、この至高のゴールを忘れないでください。

そのためには、幻想の「超越感」や「卓越感」を手放し、グッドバイブスでない人を見下すのをやめ、自他のあいだに分離や分断の壁を創り出さないことが重要です。この姿勢こそが、あなたを第2段階、第3段階へと導いてくれるのです。