「恐れや不安」から抜け出す2つのフェーズ

私はほぼ毎日のように、セミナーやパーソナルセッションでさまざまな相談を受けています。内容はもちろん千差万別ですが、その根源にあるのはやはり、このブログの再頻出キーワードでもある、

「恐れや不安」

というのが私の結論です。

そこで今日は、あらためて「恐れや不安」を払拭する具体的な方法について書いてみようと思います。「毎日、不安なことで頭がいっぱいになり、思うように行動できないでいる」という方は、ぜひトライしてみてください。

どんなときでも、「恐れや不安」を消し去るためにあなたがやるべきことは、次の2つしかありません。

① 妄想を手放すフェーズ
② 現実に向き合うフェーズ

まずは、「妄想を手放すフェーズ」です。ここでのゴールは、

「恐れや不安によって身動きが取れなくなった状態から自分を救出すること」

です。

望ましくない未来や、その日にあった不快な出来事についてあれこれと「妄想」しているときの自分がどんな感じかを思い出してみてください。

ソファーで寝そべったまま、それほど興味のないテレビ番組を観続ける。家に帰ってひとりになるのが嫌で、知人を誘って飲みに行ってしまう。ゲームやギャンブルなど、やればいつのまにか時間が過ぎていく何かに没頭する。

気力も湧かずに、まるで魂の抜け殻のように何日も何週間もダラダラと過ごしてしまうあの感じです。そんな状態のあなたは、ほぼ例外なく「疲れた」と感じているはずです。けれどもそれは「身体の疲労」や「身体の不調」ではありません。

そうではなく、

「望ましくない何かを妄想したことで、エネルギーの大半が消耗されてしまった」

のです。

実は多くの人がこの仕組みを軽視しています。「頭の中でよくないことを思い描くだけなら、たいした被害はないだろう」という大きな誤解のもと、いとも簡単に「妄想」する時間に自分を置こうとします。

たしかに、「妄想」には私たちが抗えない不思議な魅力があります。ひどいことが起こる未来について考えておくことで不安が薄れるように思えたり、嫌いな人のことを憎み続けることで実際にはできない復讐が叶ったような気になれたりします。

けれどもそれはただの錯覚に過ぎません。「妄想」は現実の問題を何ひとつ解決してくれないだけでなく、あなたが行動するために必要なエネルギーさえも奪っていく劇薬のようなものなのです。

まずはこのことをしっかりと受け入れてください。それさえできれば、あとは禁酒や禁煙をするのと同じように、

「もう百害あって一利なしの妄想はしない!」

と強く決意するだけです。

「デメリットはわかるけど、やっぱり妄想したい!」と感じたら、ぜひこの話を思い出してください。あなたには、間違いなくそんな誘惑に負けない強い意志が備わっています。

完璧でなくても、この「断妄想」「禁妄想」を実行できれば、あなたの中には何かを実行するエネルギーが残っているはずです。それを使って次の「現実に向き合うフェーズ」にトライします。

たとえば、期限が迫っている仕事があったとします。先に書いたとおり、「ああ、早くやらなければ間に合わないかもしれない」と「恐れや不安」を抱いている状態では、エネルギーを消耗しているため着手すらままなりません。

そこで、何はともあれ、①の「妄想を手放すフェーズ」によってその状態から脱出することに挑みました。具体的には、

「動けるエネルギーを確保しておく」

努力をしたということです。

ただし、これだけでは現実は変わりません。依然として、期限が迫った仕事は未着手のままあなたの前にあり続けます。もしその状況を放っておけば、また「妄想」が沸き上がってくるのは時間の問題です。

そこで、躊躇することなく、①で確保した「動けるエネルギー」を使ってその仕事に着手します。「恐れや不安」を生み出す原因となっている、

「やっていないことを、できるだけ早く片付けてしまう」

すなわち、「現実に向き合う」ということです。

もうひとつ、いったんは手放せた「妄想」を再発させる要因があります。それは、あなたの中でいつまでも予想の範疇を超えない、

「現実はどうなのか不明なこと」

です。

「相手が自分のことをどう思っているのか?」
「自分にそれができるのか?」
「本当に自分はそれを望んでいるのか?」
「自分のこの要望が受け入れられるのか?」

どれも「現実はどうなのか不明なこと」ばかりです。

これまで、あなたはそれらの真偽を確かめる代わりに、ああでもない、こうでもないと想像することで対処してきたはずです。もちろんこれも、そのまま放置しておけば手放しても手放しても、繰り返し「妄想」を生む要因となってしまいます。

いまあなたには「動けるエネルギー」があります。それをぜひ、

「現実を確かめに行く」

ことに使ってみてほしいのです。

相手に本当のことを聞きに行ってください。できるか否か、最初のアクションを実行して感触を味わってみてください。実際にやってみれば、自分が望むことかどうかも判明します。頼みにくいと思っていた要望があれば、この機会にしかるべき人にぶつけてみてください。

結果はまったく問題ではありません。うまくいこうが、失敗しようが、あなたは間違いなく「現実」を目撃できます。その瞬間に、

「ああ、もうこのことについて妄想する必要はなくなった!」

と、背負っていた重たい荷物から解放されるような快感を覚えるでしょう。

これもまた、「現実に向き合う」ことにほかなりません。

ただし、どうあがいても確かめようのない現実がひとつだけあります。それは、

「遠い未来がどうなるか?」

です。

どこからが「遠い未来」かと聞かれたら、私は「明後日から先」と即答するでしょう。本当は「明日以降」と言いたいところですが、翌日なら一晩寝れば本当のことを確かめに行けるということで、「明後日」で妥協しておきましょう(笑)。

それ以降の1週間先、1か月先、1年後、10年後、老後のことなど、確かめるのはとうてい不可能です。だとすれば「遠い未来がどうなるか?」については、無条件で「百害あって一利なし」の「妄想」を繰り返さないと決めるしかありません。

まとめましょう。「遠い未来」以外は、かならず①と②をセットで行うようにしてください。

① 妄想を手放して「動けるエネルギー」を確保する。
② 「やっていなかったこと」に着手するか、「本当のことを確かめる」かして、妄想を現実で塗り替える。

何よりも重要なのは、「恐れや不安」のない自分の気持ちよさを存分に味わい、そんなあなたがどれだけ身軽に動けたかを心に刻んでおくことです。

そのような「いい感じ」の体験が蓄積されればされるほど、①と②を実行することに抵抗を感じなくなり、「もう元には戻りたくない!」と思えるようになるはずです。まさに、世の中に多々ある悪癖を改善するのと同じやり方なのです。

Photo by Satoshi Otsuka.