しあわせや自分の価値を拒む気持ちの対処法

私たちはときに、なぜそうしてしまうかの理由がよくわからないとても不可解な行動をとろうとします。

このブログによく登場する「恐れや不安が沸き上がるとわかっていても、望ましくない未来について考えてしまう」のもそのひとつでしょう。

中でも最大の奇行は、多くの人が経験している、

「しあわせになりたいのに、なぜかしあわせになってはいけないような気がする」
「自分に価値があると信じたいのに、なぜか無価値な存在と思いたくなる」

という、どうにも説明がつかない気持ちを抱いてしまうことではないでしょうか。

そこで今日は、この「しあわせや自分の価値を拒みたい」という謎の感覚をもたらす原因と、その対処法について考えてみようと思います。

まずはこの話の前提を共有しておきましょう。バックナンバー「幻想を反転させると内側のしあわせが見える」で書いたように、私は、すべての人は例外なく、

「Natural born happy being」(生まれながらにしあわせな存在)

だと確信しています。

また、拙著『グッドバイブス ご機嫌な仕事』では、

「私たち一人ひとりの価値は完全に同じである」

とも書きました。

つまり、すべての人が「しあわせな存在」として、「絶対不変の価値」もってこの世に誕生したというのが私の持論なのです。

そんな私たちが、一瞬でも「しあわせや自分の価値を拒みたい」と思うとしたら、何かの影響でねじ曲がってしまったか、本来の自分を見失ってしまったと考えるしかありません。

もちろん、個々に取材すれば人数分の「そうなってしまった理由」が見つかるでしょう。けれども、私自身の経験に照らし合わせても、そこには共通の原因があるように思えるのです。

私はその原因を、

「罪悪感」

と捉えています。

「罪悪感」には2つの種類があります。ひとつは文字どおり「自分に対する罪悪感」です。親に迷惑をかけたこと、友人を裏切ったこと、恋人にひどい仕打ちをしたこと、誰かに損害を与えたことなど、過去にやらかしたことへの罪の意識です。

もうひとつは「他人を赦せない」と思う感覚です。こちらは自分が被害者の立場です。過去に誰かから迷惑、裏切り、酷い仕打ち、損害などを被り、相手の中に罪を見て、いまでもその人を「赦せない!」と感じています。

この2つの「罪悪感」によって、「しあわせな存在」かつ「絶対不変の価値」をもつ私たちは、いつしかそれを拒みたくなるおかしな姿に変えられてしまったということです。

ゼロ歳のあなたがピカピカのマイホームを手に入れたとします。実際にはゼロ歳児にそんな財力はありませんが、たとえ話なのでよしとしてください(笑)。

購入したばかりの家に住むあなたはもちろん、しあわせに、ご機嫌に暮らしています。きっと自信に満ち溢れ、「自分にはここで生活を営むだけの価値がある」と確信していることでしょう。

ところが、なぜかあなたには掃除をするという概念がまったくありませんでした。

1年、2年と暮らしていくうちにどんどんホコリやゴミや不要品が溜まっていきます。10年めには足の踏み場もないほどの散らかり放題。30年も経ったころには、あの美しかった家はすっかり「ゴミ屋敷」と化してしまいました。

そんなある日、噂を聞きつけたテレビ局があなたの家に押しかけて、「いまの生活はしあわせですか? 将来の夢は何ですか?」とたずねます。さて、あなたは何と答えるでしょう?

これが私のイメージする、「生まれながらにしあわせな存在」が、「無価値な自分と思わずにはいられない存在」へと変貌するプロセスです。ピカピカのマイホームは本来のあなたの心、ゴミや不要品が「罪悪感」ということです。

では、すっかり自信を失った30歳のあなたを、あのしあわせだったゼロ歳の状態に戻すにはどうすればいいでしょう。もちろん、時間を巻き戻すことはできません。

唯一の方法は、

「溜まったゴミをひとつ残らず捨て去って、最初のピカピカに復元すること」

ではないでしょうか。

そしてこれが、「しあわせや自分の価値を拒みたい」という感覚への対処法です。

「すべての罪悪感を無条件に手放す」

のです。

ぜひこの「しあわせの大掃除」のために2日間で1時間ずつ、計2時間を確保してください。できれば、就寝する直前がいいでしょう。

Day1は「自分に対する罪悪感」の掃除です。静かな部屋で椅子に座って、目を閉じながら、「罪悪感を感じている出来事」を洗いざらい思い出します。

ひとつ思い出すごとに、バックナンバー「間違いを修正すれば自分を赦すことができる」のステップに従って「罪」を「間違い」に変えながら手放してください。

Day2は「他人を赦せない」と思う感覚を掃除します。昨日と同じ環境で、あなたが「絶対に赦せない!」と感じている出来事をすべて思い出します。

もしかしたらこちらは、Day1よりキツいかもしれません。二度と見たくない悲惨な場面も少なくないでしょう。すべてはあなたが「しあわせな存在」に復活するためと思って、勇気を振り絞って向き合ってください。

「他人を赦す」ための具体的な方法は、バックナンバー「心から苦手な人、大嫌いな人をどう赦すか?」に書いてあります。「どうしてもまだ無理!」という人は、赦せるときが来るまでそのままにしておいてかまいません。野外の物置にでもしまっておきましょう。

これで「しあわせの大掃除」は完了です。あなたの「ゴミ屋敷」はピカピカなマイホームに戻りました。Day2を終えた翌朝、どんな気分になれたかをよく覚えておいてください。

あとはゴミを放置しない努力をすればいいだけです。「罪悪感」をもちそうになったら、その場で手放してください。赦せないと思う人をあなたの世界に創り出さないでください。

日々の掃除さえ欠かさなければ、「しあわせな存在」として、「絶対不変の価値」もってこの世に誕生したあなたのままでいられるはずです。

Photo by Satoshi Otsuka.