意識を使えば「最強の創造モード」になれる

昨日の記事「身体の役割はコミュニケーションか攻撃か?」で、「自分の本体は意識である!」とみなすことが「ひとつ意識」の入り口だと書きました。

このときの私たちは、自分の「意識」の中で思い描いた何かを具現化して、それを誰かに伝えるためだけに「身体」を使っています。そしてこれこそが、「自分の創造力を最大限に発揮できる状態」だと私は考えます。

ただ、そこにいたる方法が「自分の本体を意識とみなすこと」だけでは、まるで雲をつかむような話に思えることでしょう。そこで今日は、「どうすれば最強の創造モードになれるか?」について、もう少し具体的に書いてみようと思います。

まず、あらためて「意識」と「身体」の役割について整理しておきましょう。

「意識」は、何かを創る際の「きっかけ」を生み出す、創造の源泉のようなものです。馴染みのある言葉で表すなら、

「アイデア」「閃き」+「思い」「情熱」

が湧き出す場所と言ってもいいでしょう。

たとえば、いままさに私がやっている「執筆」という創造にあてはめるなら、「こういう閃きを、このくらいの熱意で書きたい!」とイメージするのが「意識」だということです。

ただし、前話でも書いたように、「意識」に思い描いたことを私以外の人が知ることはできません。そこで私は、先のイメージを他の人々に伝えるために、文章という目に見える形にしたいと考えます。

ここで必要となるのが、具現化のための道具である「身体」です。「身体」には、

「思考」と「施工」

の2つの機能があります。

「思考」は具現化のためのさまざまな「処理」を担当しています。「執筆」で言うならば、「意識」が閃いたことを文字に変換する、文脈を整える、全体の構成を決める、などがこれにあたります。

もう一方の「施工」が担当するのは、創造の最終段階、アウトプットの部分です。「執筆」なら、「思考」が文字の形に処理してくれた内容を、キーボードをタイプしたり、ペンで紙に書いたりしながら、私以外の人が閲覧できる「文章」としてこの世に出現させるのが「施工」です。

この「意識」「思考」「施工」の3要素が円滑に連携しながら、それぞれの役割を存分に発揮できているとき、私たちは「自分の創造力を最大限に発揮できる状態」にいるということです。

当然ですが、「意識」「思考」「施工」に優劣や貴賤などありません。どれが欠けても、私たちは思いどおりに何かを創造することはできないでしょう。

ところが、前話で書いたように、私たちはふだん、「身体」を自分の本体と捉えながら創造を行っています。残念ながらここには、

「創造のきっかけを生み出す意識が不在」

なのです。

すでに書いたように「身体」の機能は、さまざまな処理を行う「思考」と、アウトプットを担う「施工」の2つだけです。だとすれば、「意識」が不在の状態で、私たちはどうやって「アイデア」や「閃き」を生み出しているのでしょうか。

おもしろいことに、「身体」を自分の本体と捉えているときの私たちは、

「思考から無理やりアイデアを発想しようとしている」

のです。

あなたがよく陥るはずの、「いくら考えてもいい案が浮かばない」「考えれば考えるほど煮詰まってしまう」というあの状態を思い出してください。そんな状況を打破するために、あなたは何をしたいと思うでしょうか。

おそらく、

「情報収集」

を始めるはずです。

それは、自分が創造するために「足りない何か」を埋めようとする作業です。競合他社のウェブサイトに片っ端からアクセスしてみる、自分が創りたいものと似た作品を観て回る、インスピレーションを湧かせてくれそうな刺激を探すなどなど。

ぜひ、なぜ煮詰まると「情報収集」をしたくなるのかを考えてみてください。私はその理由を、

「本来、コンピュータのような処理をするのが役割の思考に、ゼロからの発想を強いているから」

だと考えます。

それはまるで、できのわるい「自動執筆AI」に、「いい文章がアウトプットされないのはデータが足りないからだ!」と、無理やりディープラーニングをさせているようなものです。

「思考」にできるのは、すでにあるいくつかの事柄を並べ替えたり、組み替えたりしながら、コラージュのようなものを作成することだけです。何もないところからアイデアを発想するのは、やはり「意識」の役割なのです。

さて、「意識」と「身体」の役割をおさらいし、「思考」についての誤解も解けたところで、ここからは「最強の創造モード」になるための具体的な方法を見ていきましょう。

まずはこの話の原点である「自分の本体は意識である!」という認識からスタートします。ぼんやりとでいいので、「身体は道具、意識が創造の源」と捉えておいてください。

次に、先に書いた創造の3要素、

「意識、思考、施工はシングルタスクで働く」

という事実を知っておくことが重要です。3つのうちのどれかひとつが動いているとき、他の2つはかならず機能を停止します。

「執筆」でいうならば、「思考」が文脈や構成を処理しているとき、文字のタイプは止まっているはずです。「思考」が答を出して「こう書いて!」と指令を出したのちに、ようやく指が動き出して書くことができるわけです。

これとまったく同じように、

「思考や施工が働いているとき、意識の機能は停止する」

と思ってください。

つまり、

「意識を使ってアイデアを発想したければ、思考や施工を止めなければならない」

のです。

「思考を止めるなんて、いきなりハードルが高くなったぞ!」と思うかもしれません。けれども、けっしてあなたが想像するほど難しくはありません。

「施工」を止めるのは簡単です。身体を動かさなければいいだけです。そのためには「けっして焦らない」ことを心がけてください。早く完成させたいと思えば思うほど、アウトプットすることに心が動き、つい身体を使いたくなってしまいます。

急ぎたい気持ちをグッとこらえて、微動だにしない姿勢を保ちます。貧乏ゆすりも、ペンをカチャカチャやるのも厳禁です。

残るは「思考」です。こちらは「施工」よりもやっかいですが、とにかく「考えに頼るのをやめる習慣」を身につけることが大切です。日頃から「考えてもアイデアは浮かばない」と自分に言い聞かせておいてください。

私たちにとって「思考」の象徴は脳です。この脳の中に「意識」があると思うと、「思考」との区別がつかなくなってしまいます。そこで身体の外、たとえば頭の上のほうに「意識」が位置しているとイメージしてください。

やや顔を上げ、「意識」からアイデアが脳に降りてくるのを受け止める体勢をとります。あとは必要に応じて、次のように「意識」にリクエストしてください。

「私はこれから何を書けばいい?」
「これをもっとよくするには、何をすればいい?」
「この問題を解決するには、どうすればいい?」

リクエストし終わったら、先の体勢のまま目を閉じて静かに答えを待ちます。

この間、

「自分で何とかしようと思わない」

ことが最大のポイントです。

自分でアイデアを発想したいのに、自分で何とかしようと思わないというのはおかしな話ですが、そう思った瞬間に、間違いなくあなたは「思考」を働かせてしまいます。

「あ、考え始めてしまった!」と思ったら、いったん目を開けてリクエストし直してください。再び目を閉じて、アイデアが脳に降りてくるのをひたすら待ちます。

アイデアは「思考」によって処理される前の形で降ってきます。それは企画書のような整然としたものではなく、ひとつの単語やキーワードだったり、何かの映像だったりします。この欠片のようなものを見逃さないでください。

どんな小さなものでも「これはきっと何かにつながる!」と信じて、すかさず「思考」に手渡し、できれば「施工」のアウトプットまで具現化してみます。

あとは創りたいものが完成するまで3要素のリレーを繰り返すだけです。この循環がスムーズにできるようになれば、あなたは「最強の創造モード」を手に入れたことになります。

昨年の11月から始めたこのブログも、あと少しで200話を迎えようとしています。もうネタをストックしておくなどという段階ははるか昔に終わっていて、毎日、書き始める直前までどんな内容になるか想像すらできません(笑)。

唯一の頼みの綱は今話で紹介した方法だけです。「私はこれから何を書けばいい?」と「意識」に教えてもらいながら、今日もなんとかこの記事ができあがりました。

「最近、いいアイデアがまったく浮かばない」という人は、ぜひ、「身体は道具、意識が創造の源」と捉えるこのやり方を試してみてください。

Photo by Satoshi Otsuka.


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