あなたを攻撃する人の「恐れや不安」を探る

昨日に引き続き、今日はもう一度「攻撃」と「防御」について考えてみたいと思います。

まずは、昨日に書いた「あなたが先に防御を手放せば攻撃もなくなる」のトライはどうだったでしょうか。「防御」や、防御としての「攻撃」を手放すことで何か変わったことはあったでしょうか。

今日は、昨日とは違う視点から「攻撃」と「防御」を見直してみます。

まず、相手があなたを「攻撃」しようとするとき、彼は「あなたから何らかの攻撃を受けている」と感じ、その状態から自分を守ろうとしているという事実に注目してください。

相手が感じる「あなたからの攻撃」は、かならずしも発言や行動などの具体的なものであるとは限りません。あなたの表情や、振る舞い、仕事ぶり、他人から聞いた評判などを「攻撃」と捉えている可能性もあります。

あるいは、まったく根拠のないただの「誤解」や「思い込み」、すなわち「幻想」であることもめずらしくありません。

いずれにしても、相手は「自分が傷つくかもしれない。だから先制パンチを繰り出して自分を守らなければ!」と思いながら、何らかの「恐れや不安」を抱いていることだけはたしかです。

もし、あなたが「防御」を手放していれば、ここで正当防衛と称して「攻撃」で応戦する代わりに、新たな対処方法を得ることができます。それは、

「相手が自分の何に対して恐れや不安を抱いているのか?」

を探るという選択です。

言い換えるならば、

「相手は自分の恐れや不安を解消するために、私に何かを求めている」

ということでもあります。

ストレートにその「求めているもの」を聞いてもいいでしょう。会話の中でどこかに誤解がないかを探すのもいいでしょう。答えが見つからなければ、わかるまで対応を保留しておくのもいいでしょう。

いずれにしても、防御としての「攻撃」に「攻撃」で応戦するやり方とは別のコミュニケーションが生まれるはずです。もっとも大きな違いは、

「相手の求めているものを探っているあいだ、あなたは以前ほどの恐れや不安をもたずにすむ」

という点です。

どれだけ心を鍛えても、威圧的な態度や辛辣な言葉を目の当たりにすれば、平常心を保っていることなど不可能です。おそらく、その瞬間は胸の鼓動が早まり、頭に血が上り、恐怖のあまり体中が縮こまったような感覚に襲われることでしょう。

それでも、そんな危機的な状況でさえも俯瞰で眺めることができる「大きな自分」が、あなたの中にいることを信じてください。

すかさず、やや上方向を見ながら、

「ああ、この人も何かが恐いんだな」

と「大きな自分」に向かって報告します。

そこで一瞬でも、あなたの中の「恐れや不安」が薄らいだら、その隙間を利用して「この人は自分に何を求めているんだろう?」「この人は何を恐れているんだろう?」と探求モードに入ってください。

「攻撃」だけを目的に「攻撃」する人などいません。どれだけ強そうに見える人であっても、すべての「攻撃」は「防御」のためです。そにはかならずなんらかの「恐れや不安」が隠れています。

その1点を見ることだけに専念してください。この試みが成功すれば、あなたの言動はすべて「愛の選択」となります。それはもちろん、相手の「恐れや不安」さえも溶かしてしまう選択であることを確信してください。

昨日と今日の話のほかに、「攻撃」と「防御」を手放すためのヒントがもうひとつあります。そちらは、バックナンバー「防御を手放すまで攻撃のある世界は消えない」に書きました。ぜひ、併せて読んでみてください。

Photo by Satoshi Otsuka.