心の動きから「意味づけ」を探る実験をする

あらゆる出来事や他人の言動には最初から決まった意味などありません。

たとえば、会社から昇進の辞令をもらうという同じ状況でも、ある人は「これでやり甲斐が増す!」と喜び、別の人は「責任が重くなってしまった……」と戸惑いを感じます。

同じように、万人がまったく同じ印象をもつ「絶対にうれしい出来事」や「絶対に悲しい出来事」もこの世には存在しません。

つまり、出来事や他人の言動の意味は、私たちの「意味づけ」によって決まるということです。

昨日に投稿した「いまここ」にいるための実践と同様に、お正月休みは、ふだんはなかなか意識に上がってこない「意味づけ」を知るいい機会でもあります。

ぜひ、次のことを試してみてください。

○ 誰かと話していて自分の感情が好ましくない方向に動いたら、「いま自分はこの人の言葉にどんな意味をつけたか?」を自問してみる。

たとえば、あなたがソファーに寝そべってテレビやスマホを観ているとき、家族から「いつまでもダラダラしていないで、少しは手伝ってよ!」と言われたとします。もし、そこで「ムカっ」とする感情が込み上げて来たら絶好のチャンスです。

あなたはその発言者の心をどう読んでいるか、それを言われた自分の立場をどう解釈したかなど、「ムカっ」の元となったストーリーを読み解いてみてください。

よくある例としては、こんな感じではないでしょうか。

「コイツはいつでもオレの気持ちなんて考えてないんだ。1年とおして一生懸命、家族のために働いてきたんだから、正月休みくらいゆっくりさせてくれよ。ああ、もう少し理解のある人に囲まれていたら、どれだけ楽だろうか……」

これがあなたをムカつかせたあなたの「意味づけ」です。

私たちはふだん、「他人の言動」が自分の「感情」をダイレクトに動かしたと捉えています。ところが、この実験を行うことで、その間に「自分のした意味づけ」が入っていることに気づけます。

ここでは、あなたの「意味づけ」を見つけられれば十分です。それをどうこうしようなどと考える必要はありません。

ただ、仕事の忙しさの中でこれを行うのは至難の業です。ぜひ、少しは「意味づけ」について考える余裕のあるお正月休みを利用して、「たしかにやってる!」という事実だけを発見してください。

Photo by Satoshi Otsuka.