あなたを消耗させる創造とご機嫌にする創造

私たちの仕事は、どんな職種であっても創造を伴わないものはありません。そして、私たちが行う創造には2つの種類があります。

ひとつは「創り手」から「創られたもの」が離れていくように見える「分離する創造」、もうひとつは「創り手」が「創られたもの」に自分の思いを拡張して、両者がひとつになったように感じる「広がる創造」です。

たとえば、折り紙で鶴を作るとします。それがあまりやりたくない学校の課題だとしたら、折り目がどうだ、紙の合わさり方がどうだなどはいっさい気にせずに、ただ早く終わらせることだけを考えて作業を進めるでしょう。

ではその同じ折り鶴が、大切な人に贈る千羽鶴の1羽だとしたらどうでしょう。どんなに不器用な人でも、ひとつずつの工程に自分の思いを込めながら、できるだけキレイな鶴を折る努力をするはずです。

前者が「分離する創造」で、後者が「広がる創造」です。

仕事の中で、自分が手がけたものを吐き捨てていくような「分離する創造」ばかりやっていれば、ただ消耗するばかりで、やがて気力も体力も失せていきます。

幼少のころから今日までに、あなたが少なくとも一度はやったことがあるはずの「広がる創造」を思い出してください。

完成品に思わずほおずりしたくなるような仕事。自分の仕事であるにも関わらず、何度もなんども見直したり、手に取ったり、聴いたりしてしまう仕事。

そんな「自分の分身のように思える仕事」があなた自身はもちろん、それを受け取る人もご機嫌にしてくれるのです。

Photo by Satoshi Otsuka.