何があっても最大価値の自分を信頼しておく

このブログでも何度か書いてきたように、グッドバイブスのすべての取り組みは、

「私は、絶対不変の価値と、創造力を携え、しあわせな存在、グッドバイブスな存在としてこの世界に誕生した!」

と確信することから始まります。

それは、

「何があっても、価値MAXの自分自身を信頼しておく」

ということでもあります。

これによって、もし「私はいましあわせではない」と感じたとしても、その原因を見つけて修正しさえすれば、いつでもグッドバイブスな本来の自分に戻れるようになります。

ただ、とても残念なことに、私たちはずいぶんと長いこと、これとは真逆の発想をもって生きてきました。

ひとりでは何ひとつ満足にできない「生産性ゼロ」の状態で生まれ、知識やスキル、経験などのあとづけの能力によって、価値が高まっていくという考え方です。

ここに、冒頭に書いたグッドバイブスのスタート地点を、なかなか受け入れられない最大の要因があるのです。

私たちの多くが信じている「右肩上がりの成長志向」では、

「信頼とは何らかの実績によって生まれるもの」

とされています。

けれども、グッドバイブスは最初に信頼ありきです。あなたがいまどん底の状態にいるとしても、誰からも評価されていないとしても、キラキラした人たちに囲まれて自分の平凡さを嘆いていたとしても、

「無条件で自分を信頼する!」

ことが求められます。

今日は、この両者の隔たりをどのように解釈して、いまそのままの自分をどう信じればいいのかについて書いてみようと思います。

まずは、次のような状況を想定してみます。

あなたの部署に、外部からヘッドハンティングされた新しい上司がやってきました。あなたは、以前の上司からはとても高く評価されていました。ところが、この新しい上司は、あなたの考え方や、仕事の進め方、会議での発言をことごとく否定してきます。

環境がすっかり変わってしまったことに、違和感とストレスを抱えながら働いていたある日、あなたは大きなミスをしてしまいます。当然、馬が合わない上司はあなたを強く叱咤し、次のような指示を出してきました。

「前から君はいつかやらかすと思っていたよ。しばらくは帰宅前に、毎日の進捗を詳細にまとめて提出してほしい。私から見て、もう大丈夫と思うまでこれを続けよう。君のためだと思ってやってくれ」

誰が見てもわかるとおり、あなたは新しい上司からの、

「信頼を完全に失った状態」

にあります。

翌日から、仕事を終えたあとに1時間ほどかけて日報を書く日々が始まります。それだけでなくこの上司は、電話での会話や、外部に送るメールの文面など、あなたのあらゆる行動を一日中、チェックしまくるのです。

もちろん、この窮地から抜け出すためには、新しい上司の信頼を回復しなければなりません。そこで質問です。

「あなたは、この状況でどれだけのパフォーマンスを発揮できるでしょうか?」

中には「がんばって100パーセント出し切りますよ!」という強者もいるかもしれません。でも、私が自分だったらと想像するに、身も心も縮み上がり、正常な判断力も失い、会議でも満足に発言できないなど、実力の1割も出せないと思います。

どう考えても、信頼を回復するどころか、次々と失態を重ねていきながら、ただただ上司を失望させ続ける自分しかイメージできないのです。

先に書いたとおり、たしか世の中の常識では、「信頼とは何らかの実績によって生まれるもの」だったはずです。

ということは、よほどの奇跡でも起こらないかぎり、

「いったん失った信頼は、二度と取り戻すことはできない!」

ということになるのでしょうか。

実際に、コンサルや企業の顧問の仕事をとおして私は、このような負の無限ループに陥ったスタッフが、結局は職場を離れていく場面を幾度となく目にしました。

しかもその多くが、入社したてのときは凜々と目を輝かせ、新天地でなんとか爪あとを残そうと前向きに働く、とてもいい感じの人たちだったにも関わらずです。

その彼や彼女が、上司からの信頼を失ったとたんに血色を失い、目からは生気が消え、服装や髪の毛も乱れがちになり、口数もどんどん少なくなっていきます。

私も個人的に「あのころの自信を取り戻さなきゃ、何をやってもうまくいかないよ」とアドバイスしましたが、どうしても「信頼とは何らかの実績によって生まれるもの」という呪縛を解き放ってくれません。

抜け殻のようになりながらもなお、上司の信頼を取り戻すために結果を出さなくてはと、無理に無理を重ねようとします。

こうなると、人事部から長期休暇をとるように言われるのは時間の問題です。数か月後、ひさしぶりに会社で再会したときには決まって、「いままでお世話になりました。今日が最後の出社日なんです」と別れの挨拶を告げられるのです。

そんな光景を見るたびに私は、「なんじゃこれは!!!」といたたまれない思いに苛まれました。どうすれば彼や彼女を救えるのかも、かなり必死に考えました。

最初に頭に浮かんだのはやはり、

「本当に信頼とは、人から与えられるものなのか?」

という疑問です。

もしそれが事実だとしたら、究極的には、この問題を自力で解決する方法などないということになってしまいます。

なぜならば、よほど強靱な精神力のもち主でないかぎり、私たちには、

「信頼を失えば弱くなり、信頼を回復するための結果を出せなくなる」

という負の連鎖が起きてしまうからです。

そこで私は、この出口のない迷宮から脱出するためにはやはり、

「無条件の信頼を、自分の意志でもち続けるしかない!」

という考えにいたったのです。

「他人の手に委ねてしまった信頼を、自分の手に取り戻す努力をする」といってもいいでしょう。努力といっても、結果や実績を残すことではありません。

「自分は無価値で無能な人間である」

と思いたくなる誘惑には、絶対に負けない意志をもつということです。

どんなときでも、私たちを弱くするのは「恐れや不安」です。それはたとえば、「上司の信頼を取り戻さなければ、私はこの会社や世の中にとって、不要な存在になってしまう」というイリュージョンによって湧き起こります。

そんな弱り切ったときにこそ、思い出してほしいのが、

「私は、絶対不変の価値と、創造力を携え、しあわせな存在、グッドバイブスな存在としてこの世界に誕生した!」

という「あなたが帰るべき場所」なのです。

イリュージョンの霧を打ち消して、「恐れや不安」を手放す方法は、拙著『グッドバイブス ご機嫌な仕事』やこのブログに書いてきたとおりです。それさえできれば、あなたはいつでも本来の自分に戻れます。

ただしそのためには、

「何があっても、価値MAXの自分を信頼しておく」

ことが必須であることを忘れないでください。帰る家を見失ってしまったら、あなたはまたあの負の連鎖に入ることを、自分の意志で選んでしまうでしょう。

そしてもし、なんとなくでも「無条件に自分を信頼する」ことができたなら、今話に登場する新しい上司と自分の立場を逆転させてみてください。

あなたがそうであったように、他の人たちにもみな「帰るべき場所」が必要です。

つまり、彼や彼女が本来の自分として最大限の実力を発揮するためには、まずあなたが、

「無条件に他の人々を信頼すればいい!」

と気づけるはずです。

よくいわれる「簡単に人を信じるのは危険だ!」というアドバイスが、何かが起こる前の懸念、すなわちイリュージョンであることは、このブログの読者の方なら火を見るより明らかだと思います。

最後に、昨年の11月から一日も休まずに、平日の日刊で更新してきたこのブログですが、本日よりしばらくのあいだ不定期刊とします。この間に私は『グッドバイブス』の続編の執筆に専念します。

前著『グッドバイブス ご機嫌な仕事』に盛り込めなかったことや、刊行後に得たさまざまな気づきなどを、本気モードで書き切りたいと思っています(笑)。

毎朝、このブログをご購読いただいているみなさん、いつも本当にありがとうございます! 日刊の再開までしばらくのお時間をいただければ幸いです。

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Photo by Satoshi Otsuka.