たまにはグッドバイブスをお休みしましょう

タイトルは「グッドバイブスをお休みしましょう」ですが、けっしてこのブログを休むという意味ではありません(笑)。

拙著『グッドバイブス ご機嫌な仕事』 の最終章で、「意味づけを手放す」など、本書のメソッドを実践しようとしてうまくいかなかったとき、

「どうして私はこんなことができないんだろう。なんてダメなヤツなんだろう」などと、自分に対して失望したり罪悪感をもったりする必要はありません。

と書きました。

なぜならば、私自身がグッドバイブスの取り組みの中で、何度も何度も失敗を繰り返してきたからです。もう大丈夫だろうとたかをくくっていると、思いもよらない弱点を攻められ、想像もしなかった恐い出来事に遭遇し、またスタート地点に逆戻りします。

そんな行ったり来たりの往復を重ねながら、らせん階段のように少しずつ、一歩ずつ、グッドバイブスに近づいていくしかないのです。

できれば、私も即効性のある方法を見つけて紹介したいのですが、残念ながら、その夢はいまだに叶っていません。

そこで今日は、どうしても「平安な心を得られなかったときの一日の過ごし方」について書いてみようと思います。そう、今日はグッドバイブスはお休みなのです。

あなたはその日、同僚と激しく言い争いをした、上司に辛辣な言葉をぶつけられた、会議で自分の提案にひどいダメ出しをされた、どうにも納得できない理不尽な扱いをされたなど、職場でかなり嫌な体験をしました。

グッドバイブス、すなわち「平安な心」でいるためには、その出来事への「負の意味づけ」や、それがどれだけ望ましくない方向に進展するかなどの「未来の予測」を手放すしかありません。

けれども、どれだけ「このことについて考えてもメリットなどない!」と自分い言い聞かせても、気がつけば頭の中をグルグルと「妄想」が駆け巡っています。深呼吸をしても、「大きな自分」をイメージしても、それを止めることはできません。

次第に「恐れや不安」は増幅していき、頭痛やめまい、ひどい倦怠感など、身体にも異変が起こり始めます。最後には、グッドバイブスであろうとする気力すら残っていないように感じてしまいました。

そんなときは、ぜひ、こう言い放ってください。

「よし、今日はもう、グッドバイブスはお休みにしよう!」

そして、フッと息を吐きながら、そこまでやってきた努力を思い出してみます。

「うん、なるべく考えないようにしたよな」「相手を攻撃しないよう自分に言い聞かせたよな」「相手の中にある恐れや不安を見ようとしたよな」と、やってきたことを振り返りながらこう結びます。

「今回はたしかに自分の手に負えなかった。それでもがんばってみたんだから、ま、いっか!」

以上です!

あとは、ソファーに横たわったり、風呂に入ったりして、妄想で疲れ切った身体をただただ、いたわってあげてください。

あなたは間違いなく、何らかのトライをしました。何もしなければ、もしかしたらもっとひどい状況になっていたかもしれません。100のダメージを90で食い止められたとしたら、それだけでもラッキーと思っていいはずです。

相手は予想以上に強敵です。次の機会、またその次の機会に、80、70と少しずつダメージを減らしていくしか手はなさそうです。あきらめずに何度でも向かっていけば、いつかはゼロに近づく日が来るかもしれません。

ということで、今日のところは90で手を打っておきましょう。

さて、そんなグッドバイブスの休日にできることがひとつあります。帰宅したら、くだらない話ができる人をひとり見つけてください。

家族がいれば、奥さんや旦那さん、お子さん、親兄弟が候補になります。ひとり暮らしなら、友人や恋人など、すぐにメールのやり取りができる人がいいでしょう。

あなたはいま、かなり消耗しています。もしかしたら、「とても誰かと話せる気分じゃない」と感じているかもしれません。でも、そのモヤモヤした思いのやや奥の方に、他人によってひどいめに遭った日だからこそ、

「私は人に優しくしたい」

というちょっと温かい気持ちが見つからないでしょうか。

「そんなものどこにも見あたらない」という場合は、ここで中断してください。そのままゆっくり休んでおくのが得策です。

もし、「ああ、あるかもね」と思ったら、その温かな気持ちを携えたまま、先に選んだ人と直接、またはメールで会話してみてください。たわいもない話でかまいません。

家族や友人や恋人の、何気ないひと言に救われるというか、癒されるというか、妄想の中の、殺伐としたモノクロームの世界に、少しだけ色をつけてもらえたような気分にしてもらえると思います。

おそらく、先ほどまでのあなたは、

「自分だけが入る小さなカプセルの中で、孤独なまま苦悩を抱えていた」

はずです。望ましくない考えの中にいるとはそういうことです。

会話をする相手を見つけたとき、あなたはこのカプセルの中から這い出て、それまで忘れていた、

「他の人とのつながり」

を取り戻しているのです。

「ああ、そうか。たしかにとんでもない一日だったけど、自分にはこの人たちとのつながりがあったんだ。なるほど、まだまだ人生は捨てたもんじゃない」

うまくいけば、そんなふうに感じられるかもしれません。すかさず、この「つながり」にフォーカスを移して、最初に携えた「温かな気持ち」を相手に贈りながら、5分でも10分でもいいので会話を続けてみてください。

自力でどうにもならないときは、カプセルから抜け出て、「つながり」の中で他の人の助けを借りる。いろいろな意味で、これもまた、わるくないグッドバイブスへの入り口だと思います。

Photo by Satoshi Otsuka.