グッドバイブスが「ひとつ意識」に誘う理由

今日は、拙著やこのブログのタイトルでもある「グッドバイブス」について書いてみようと思います。まさにたくさんの切り口があるテーマですが、今回、掘り下げたいのは、「グッドバイブス」には、

「周りの人々を自他の区別のないひとつ意識に誘う(いざなう)」

効力があるという話です。

順を追って説明しましょう。まずは拙著にも登場する「グッドバイブス」の定義からです。

「グッドバイブスとはいい感じの思いを乗せた波」

そして「いい感じ」とは、

「恐れや不安のない平安な心」

をもっている状態です。

バックナンバー「平安な心が平熱で恐れや不安が高熱」で書いたように、「平安な心でいる人」は、自分を「防御」する必要を感じません。なぜならばその人には、「平安な心」を得ようとして、何度も「恐れや不安」を手放してきた経験があるからです。

この世に生まれた瞬間の私たちには「恐れや不安」を抱く要素などありません。おそらく、すべての人が「平安な心」をもって誕生したはずです。

ところが、1歳、2歳と年齢を重ねるに従って、うまくいかない出来事や、不快と感じる状況に少しずつ遭遇するようになります。そのような体験をとおして、私たちは次のような時間の概念をもち始めます。

「自分が期待する未来と、その結果が判明する現在」

もちろん期待どおりか、ときにはそれを上まわる結果に出会えることも少なくありません。けれども、「ほしいおもちゃがあったのに、親は買ってくれなかった」といった、期待外れの結果のほうが強く記憶に刻まれていきます。

こうして先の2つに加えて、

「失望した過去」

という新たな時間の概念が加わります。

「平安な心」をもって生まれてきた私たちには、もともと現在、「いまここ」しかありませんでした。けれども、しばらくするとそこに「未来」と「過去」が足されます。

さらに年齢を重ねた私たちは、これら3つの時間軸を使って次のような「防御策」を考えるようになるのです。

「失望した過去を教訓にしよう。現在で傷つかないためには、できるだけ望ましくない未来を予想しておくほう賢明だ!」

この「失望した過去」と「望ましくない未来の予想」が、私たちに「恐れや不安」を抱かせていることは、拙著やこのブログで繰り返し書いてきたとおりです。

残念ながらこのプロセスは、私たちにとって逃れられない宿命のようなもので、それこそ奇跡的な幸運に恵まれた人でなければ、避けて通ることはできません。

先に書いた「平安な心でいる人」も、やはり同じ道をたどっています。ただ、他の人と違って、なんらかの努力や工夫によって、生まれた瞬間の自分のところまでこのプロセスを巻き戻すことに成功したのです。

彼はその道のりで、

「失望した過去と、望ましくない未来の予想を手放せば、けっして傷つくことのない現在にいられる」

という重大な事実を思い出します。拙著で書いた「いっさいの悩みがないいまここ」に帰ったということです。

同時に彼は、

「いまここで傷つくことのない自分が、攻撃されることはあり得ない」

ことも確信しています。

そのため、どれだけ理不尽と思える状況にあっても、どれだけ辛辣な言葉を投げかけられても、彼はそれを「自分への攻撃」とはみなしません。その代わりに、相手に望ましくない言動を生じさせた「恐れや不安」のほうを見ようとします。

かつて自分も同じことを繰り返していた経験から、

「自分への攻撃は結果。相手が抱いている恐れや不安が原因」

という図式を熟知しているからです。すでに放たれて変えようがない結果に立ち向かおうなどとは思わないのです。

その代わりに、原因である相手の「恐れや不安」を取り除くためにいま自分は何をすればいいかを考え、可能ならばそれを実行します。

これが、

「愛に基づく選択」

です。

「恐れや不安に基づく選択」から攻撃を繰り出してきた相手は当然、反撃を覚悟して身構えていますが、予想に反して「愛に基づく選択」が返って来たことにひどく動揺します。

けれども、すぐに「ああ、もうこの人を攻撃する必要も、意味もない」と察知し、静かに矛や振り上げた拳を収めるでしょう。

気がつけば、「平安な心でいる人」の周囲から、私たちがいつも目にする攻撃の応酬や報復、復讐といった行動や概念が消え去っていきます。

防御が不要な世界にいると感じた人たちは、

「自分と他の人とのあいだに築いていた強固で巨大な壁」

を取り除いてもいいんじゃないかと考え始めます。

もちろん、そうはいっても他の人に対する疑念が一気に消えるわけではありません。おそるおそる、ビクビクしながら、少しずつ少しずつその作業を進めることになるでしょう。

それでも、壁の力が弱くなるに従って、

「自分と他人の利害が完全に一致する瞬間」

を体験する機会はどんどん増えていきます。

最後には「もしかしたら、我々はひとつだったのかもしれない!」という、決定的な事実を思い出し、自他の区別のない、

「ひとつ意識」

へと導かれていくわけです。

これが「グッドバイブス」がもつ最大の効力、「周りの人々をひとつ意識に誘う」の具体的なプロセスです。

もちろん、これまで書いてきた話は究極の理想型のようなものです。現実にはここまで完璧なゴールに達するのは至難の業だと思います。けれども、この10パーセントでも実現できれば、あなたの家庭や職場は大きく様変わりします。

それなりに意思の疎通がとれていて、同じような志をもつ5、6人の小グループであれば、「ひとつ意識」まで到達することもけっして不可能ではありません。

今日、なんとしても伝えたかったのは、その鍵を握るのはほかでもない、あなた自身だということです。

なぜ「恐れや不安」を手放して「グッドバイブス」を携える努力をするのか。それは、「あなたにその役割が与えられているから」かもしれないのです。