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「平安な心」が平熱で「恐れや不安」が高熱

私たちが健康なときの体温は、おおよそ36度6分から37度2分と言われています。もし「あ、なんだか身体がだるくて熱っぽいなぁ」と思って体温を測ったところ、38度もあれば風邪か何かの病気になったと判断するでしょう。

そうなれば当然、薬を飲むか医師の診断を受けるかして「熱を下げる」ための対策を講じるはずです。

現実にはあり得ない話ですが、何かの間違いで、本来は病気であるはずの38度が自分の平熱だと勘違いしてしまった人がいたとします。彼はもちろん、だるくて立っていられないほど消耗した自分を「これが普通の状態」と思い込んでいます。

ある日、「あれ? なんだかいつもと違うな。身体が軽いぞ!」と感じて体温を測ってみたら、36度6分でした。ただ健康な身体に戻っただけなのですが、彼は自分が平熱と信じている体温より1度以上も低いことにショックを受けます。

「ああ、大変だ! これでは低体温症になってしまう!」と心配して、熱い風呂に入ったり毛布で身体をくるんだりしながら、なんとか38度の体温に戻そうとするでしょう。

「いったい今日は何の話が始まるの?」と思ったかもしれません(笑)。実はこれ、私たちと「恐れや不安」の関係を表すのにピッタリのたとえ話なのです。

拙著『グッドバイブス ご機嫌な仕事』やこのブログで繰り返し書いてきたように、「恐れや不安」で頭がいっぱいの私たちは、次のような負の影響を受けます。

① 「いまここ」に注ぎ込むべきエネルギーの大半を、未来を心配することに費やしてしまう。
② 「望ましくない未来」を思い描くことで、世界の見方や言動が変わり、結果として「望ましくない現実」を創造してしまう。
③ 自分を防御するために、怒りや不機嫌さで他人を攻撃してしまう。

反対に、「恐れや不安」を抱かずに「平安な心」でいるとき、私たちは次の3つのメリットを得られます。

① 「いまここ」に最大のエネルギーを注ぎ込みながら、最高の集中力と判断力を発揮できる。
② 「いま起こっていること」をフラットに知覚しながら、ほぼ無限の可能性の中から、自分にとってもっとも望ましい現実を選べるようになる。
③ 自分を防御する必要がないため、犠牲になっている感や奪われている感をもたずに、与える選択、愛の選択を行えるようになる。

さて最大の問題は、「恐れや不安」と「平安な心」のどちらを自分にとっての「普通の状態」とみなすかです。

ここで冒頭の体温の話が役に立ちます。ぜひ、2つの心を平熱と高熱に置き換えて考えてみてください。

私の結論はやはり、最高のパフォーマンスを発揮できる「平安な心」が36度6分から37度2分の平熱で、それが著しく損なわれる「恐れや不安」が38度の高熱となります。

当然ですが私は、もし自分の中に何らかの「恐れや不安」が沸き上がってきたら、「あ、調子がわるくなったぞ」と察知して、すぐさま「熱を下げる」ための対策、すなわちそれを手放す努力を始めます。

ところが、多くの人はこのようなメリットとデメリットを理解してもなお、「やっぱり恐れや不安を手放すのはムリ!」と言います。そればかりか、「平安な心」でいることを、修行僧などの特別な人だけに許される「はるかな高み」と考る人も少なくありません。

気持ちはよくわかりますが、だとすると、先に登場した「本来は病気であるはずの38度が自分の平熱だと勘違いしてしまった人」と同じ道をたどることにならないでしょうか。

「恐れや不安」の影響を受けて身体が重くなっていても、「それが平熱」だと信じているのでとくに何かの手を打とうとは思わないでしょう。もしたまたま「平安な心」をもったとしたら、

「これはいつもの自分じゃない。心配なことを探さないとまずいぞ!」

とばかりに、38度に熱を上げるのと同じ努力をしてしまうかもしれません。

この大きな勘違いから抜け出すことが、「恐れや不安」を手放すための第一歩なのです。ぜひ、次のことを受け入れてください。

「恐れや不安のない平安な心が、自分にとっての平熱であり健康な状態である!」

健康を害してまでも「恐れや不安を手放したくない!」と思ってしまう理由はとても単純です。それが自分にとって極めて有効な「防御の手段」に見えるからです。

けれども、先に挙げた負の影響を見る限り、実際にはそのような防御は期待するほどの効力をもたないだけでなく、かえって事態を悪化させていることは明らかです。この事実も併せて受け入れてください。

そのうえで、自分が抱いている「恐れや不安」に真正面から向き合い、次のように自問してください。

「自分が懸念しているこのことは、自分が予想する時期に、寸分違わず思い描いたとおりに現実になることが確定しているのか?」

答えは100パーセント「いや、確定しているわけではない」になるはずです。なぜならば、私たちにそこまで正確な未来など予測できるはずがないからです。このことを認識した瞬間に「恐れや不安」の正体が判明します。

「恐れや不安は、望ましくない未来を妄想することで生まれる!」

あなたを恐がらせているのは、あなたが頭で創り出した実体のない「幻想」だということです。

これでようやく、「熱を下げる」ための具体的な方法を手にしました。あとはそれほど難しくありません。拙著で書いた「大きな自分」、すなわち思考を客観的に眺められる「意識」で、

「いま自分が何を考えているか?」

を見張る習慣をつけてください。

望ましくない未来について考え始めたとわかったら、

「これを続けると高熱が出て調子がわるくなることを自分は知っている。だから、これ以上は考えるのをやめる!」

と決意して、不確定な未来に関しての思考を止めればいいだけです。

もし、「そうなるためには、やっぱり特別な修行を積む必要があるんじゃないか?」と思ったとしたらそれは大きな誤解です。

究極の目的ははるか高みに昇ることではなく、日常の生活や仕事の現場でこれを実践できるようにすることです。であるならば、そもそも毎日の暮らしの中でその方法を学べないようなやり方には何の意味もありません。

最初は考えたい自分の強い抵抗に遭うことでしょう。けれども、「いや、平熱に戻って元気になりたい!」という意志さえあれば、かならず「望ましくない未来の妄想をしない習慣」は身につきます。

そして、「どちらが楽か?」と自問すればその意志は自然と沸き上がってきます。私たちはもともと「平安な心」でいることが「平熱」な存在として生まれてきたのです。そんな自分を信じて、焦らず気長にトライしてみてください!

Photo by Satoshi Otsuka.

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