私たちの中にはいつでも「ふたりの自分」がいます。「至高の能力を発揮できる本来の自分」と「自我に支配されて弱くなっている自分」です。
拙著『グッドバイブス ご機嫌な仕事』では、それぞれを「ひとつ意識をもつ自分」と「バラバラ意識をもつ自分」と表しました。
ただどちらにしても、このような表現の自分はぼんやりとしていてつかみどころがなく、どうすれば「本来の自分」でいられるのか、「ひとつ意識をもつ自分」でいられるのか、具体的な方法がイメージしにくいはずです。
そこで、ぜひ次のように捉えてみてください。
「平安な心をもつ自分」と「恐れや不安を抱いている自分」
これならば、私たちのすべきことはかなり明確になります。要は「恐れや不安」をもたない工夫やトレーニングをすればいいのです。
そして、このブログや拙著でも書いてきたように、あらゆる「恐れや不安」は、望ましくない未来を予測したり、出来事や他人の言動に「意味づけ」をすること、すなわち、
「考えること」
によって生まれます。
そこで今日は、昨日に引き続き、ぜひこの大型連休中にトライしてほしい「平安を体験するトレーニング」を紹介したいと思います。
座禅や瞑想など、同じことを目的とする優れたメソッドは古今東西に数多くあります。興味があれば、この機会にそのような講座を受けてみるのもいいでしょう。
今回は、その入門のような位置づけで、お金もいっさいかからず、特別な道具を用意する必要もなく、身体ひとつあればいつでもできる方法を紹介します。
まず、1キロ程度の散歩道を選んでください。どんな場所でもかまいませんが、あなたが心地よいと感じるルートがベストです。個人的にはビルが建ち並ぶ街中よりも、緑の多い遊歩道や公園が好みです。
スタート地点に立ったら目を閉じて3回ほど大きく深呼吸します。最後の息を吐き出したら目を開けて、心の中で次のように宣言します。
「私はここから1キロの道のりを、考えることを手放した状態で歩く!」
そのままふだんの半分くらいのペースでゆっくりと歩き始めます。
その際に、周囲にある特定の何かに目の焦点を合わせるのではなく、視界に入る光景全体をぼんやりと眺めるようにします。
数秒もしないうちに、あなたの頭に最初の「考え」が浮かんでくるはずです。それは、「キレイな道だな」「ああ、気持ちいい」などのいま感じていることかもしれません。あるいは、数日前の気になった出来事や、明日以降の予定のことかもしれません。
内容が何であれ、その最初の「考え」をキャッチしてください。おそらく、あなたは簡単にそれに気づけるはずです。この「自分が考えている」という事実に気づいた自分が、
「大きな自分」
です。
「大きな自分」が見つかったら、すかさずあなたの頭の上にその存在を浮かべる様子をイメージしながら、心の中でこう言います。
「これから、この大きな自分で私の考えを見張る」
そのまま、ぼんやりと景色を眺めながら歩き続けてください。また数秒もしないうちに、短い文章か単語が頭の中に浮かんで来るはずです。間髪入れずに「大きな自分」でそれをキャッチして、
「あ、いまこんなことを考えていた」
と「考えたこと」をサラッと振り返って、そのままリリースします。
ゆっくりと歩きながら「考えたこと」をキャッチ&リリース。あとは散歩が終了するまで、これを繰り返すだけです。
うまくいけば、
「いま、自分の中から恐れや不安が消えて、穏やかな気持ちになっている」
と感じられる瞬間があるでしょう。
もし、わずかなあいだでもそのような「平安な心」を実感できたら、それを、
「いつでも自分が帰るべきホーム(家)」
だと思ってください。
この貴重な機会を逃すことなく、「平安な心とはこういうことか!」としっかりと全身に刻んでおきます。そして、仕事の現場などで「恐れや不安」を抱きそうになったときには、
「いけない、いけない、こんなところにいないでホーム(家)に帰ろう!」
と自分い言い聞かせてください。
多忙な日々の中で「平安な心」、すなわち「ホーム」を見つけるのは簡単ではありません。ぜひこのゴールデンウィークを、あなたがかつて住んでいたあの穏やかで静かで、平和な「帰るべき場所」を思い出すことに活用してください。
あなたの休日が平安でありますように!
Photo by Satoshi Otsuka.
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