12月9日の記事「サボりたくない自分に会うまで本気でサボる」から、昨日の「本気を発揮して与えるすごさを実感する」まで、実に7話にわたって、
「いま目の前にあることを本気で行う」
というテーマを掘り下げてきました。
今日はその完結編として、本気モードから得られる5つめの報酬、
⑤ 強い引力を発するようになる。
がどのようなものかを見ていこうと思います。
まず、この話の大前提を共有しておきましょう。このブログでも繰り返し書いてきましたが、あらゆるグッドバイブスの取り組みは、
「自分は本当のことを何も知らない」
という事実を認めるところから始まります。
なぜならば、私たちに数々の苦悩をもたらす「負の意味づけ」や「望ましくない未来の予測」は、いつでも「自分の判断は正しい」という思い込みによって生まれるからです。
ところが実際には、私たちは本当のことを何もわかっていません。「そんなはずはない!」と思ったとしたら、ぜひ、次の4項目について、あなたが完璧に知っているかどうかを検証してみてください。
① 未来に何が起こるか?
② ある出来事が、自分や他の人にどのような影響をもたらすか?
③ 他の人が何を思い、何を考えているか?
④ 自分とはどのような存在か? また、その個性と役割は何か?
すべての答えが「NO!」であることは明らかです。この事実を心から受け入れて初めて、私たちは、「意味づけ」や「未来の予測」という、「自分の正しさ」を根拠にした判断を手放せるようになるのです。
そのうえで、早急に「望ましくなくない!」と結論を出す代わりに、
「本当は何が起こっているんだろう?」
と、過去に築き上げた先入観などを洗い流し、もう一度、興味をもって目の前の現実を観察するところからやり直します。これが、「平安な心」を得るために行うグッドバイブスの基本の型です。
たとえば、①と②のように未来に関することは、受け身の姿勢で「実際に起こったことに、いまここで対応する」ようにします。
③の人間関係においては、いっさいの読みを捨てて、すべてを聞き、すべてを伝える「淀みないコミュニケーション」を行います。
そして、④の「自分について」の真実を知るための具体的な方法が、
「本気モードによって強い引力を発する」
ことなのです。
できれば本日中に、バックナンバー「好きと依頼がしあわせな役割を創る」で紹介した「ドリームチームのワーク」を行ってみてください。
手順は以下のようになります。
1) 仕事かプライベートで、ある目的をもつドリームチームを編成する。
2)あなたの知人や仕事仲間から7人以内のメンバーを選抜し、名前を書く。
3)それらの人にどのような役割をお願いするかを書く。
4)なぜ、それぞれの人にその役割を頼みたいのか、その理由を書く。
5)自分の割り当てた役割を、彼らが好むかどうかを予想する。
11月に開催した「グッドバイブス ご機嫌な生き方塾 in 鎌倉」で実際に行ったワークです。
当日の結果もまさにそうでしたが、かなり真剣にこのリストを作成することで、私たちの「個性と役割」について、それまで見落としていた次のような事実に気づけるようになります。
・ あなたは、自分以外の人の個性と強みをかなりの確度で知っている。
・ あなたは、大事なチームに「ある役割を果たす能力がない人」を加えない。
・ リストアップした人たちは、あなたが頼もうとする役割を好むとは限らない。
ぜひ、上記の「あなた」と「自分以外の人」を入れ替えた視点で、
「私のもとにやってくる依頼の本質とは何か?」
について考えてみてください。
たとえば、あなたに絵を描く才能とスキルが皆無だとしたら、「このイラストを作成してほしい」という依頼が来ることはありえません。
ドリームチームを編成するあなたがそうであったように、他の人もまったく同じ根拠に基づいて、「あなたに何をやってほしいか?」を決めているはずです。
だとすれば、
「あなたのもとに来ている依頼には、自分の個性と役割を知るヒントがある!」
ということにならないでしょうか。
もちろん、そうしてやってくる依頼の中に「あなたが好きではないこと」や、「以前は興味があったけれども、いまはあまりやりたくないこと」が含まれている可能性は大いにあります。
鎌倉で行ったワークでは、「○△×」の三段階で「相手がこの依頼を好むと思うか」を評価してもらいました。全員に○をつけたひとりをのぞいて、参加者のリストはみな「△」と「×」のオンパレードでした。
このとき、リストを作成する側の考えは次のような感じだったと思います。
「この人は、この役割をあまり好んでいないかもしれない。でも、彼には間違いなくその能力がある。だからこそ、無理を承知で彼に頼みたい!」
表現はあまりよくありませんが、間違いなく「確信犯」ということです(笑)。
拙著『グッドバイブス ご機嫌な仕事』で私は、しあわせな役割を見つけるために、「好きや得意を仕事にしてもいいと自分に許す」ことを提案しました。
ただし、先に書いたように、「自分について何も知らない」私たちにとって、「何が好きで、何が得意か?」の答えを見つけることはけっして簡単ではありません。
さまざまな外的な要因によって、好きだったものに翳りが生じることもあります。単純に飽きてしまうこともあるでしょう。ひとつの大きな失敗によって、好きな仕事が一瞬にして「二度と見たくないこと」に変わるかもしれません。
あるいは、世の中で評価されがちな職業や、多くのお金を稼げそうな仕事に憧れているうちに、「自分はもともとそういう分野に興味があった」と思い込んでしまう可能性もあります。
とくに仕事においては、
「私たちにとっての好きは、ノイズにまみれてしまいがち」
なのです。
ここで、先の「ドリームチームのワーク」で、あなたが他の人に「なんとしてもこの役割をお願いしたい!」と思った、あの気持ちを蘇らせてみてください。
そこに、「相手を困らせてやろう」といった悪意はあったでしょうか。「単なる駒として使い倒してやろう」などの打算があったでしょうか。
いうまでもなく、不純な動機などいっさいもたずに、
「純粋に、この人の能力と人柄、発想、そして個性がほしいんだ!」
という、プロ野球のドラフト会議で選手を指名するときのような、ピュアな願望だけで、あなたはその人を選んだはずです。
もしそうだとすれば、
「ノイズにまみれた好き嫌いにこだわるよりも、依頼者の思いに応えていくほうが、自分の活躍できる場所を見つけられる可能性は高い!」
ことにならないでしょうか。
話を「本気モード」に戻しましょう。これまで書いてきたことを踏まえて、次のことを自問してみてほしいのです。
「他の人からの依頼に、本気で応えずに日々を過ごしていたらどうなるか?」
おそらく、あなたをドリームチームのリストに載せたいと思う人は、次第に減っていくでしょう。その理由は、まわりの人があなたの働きぶりに失望するからではありません。
そうではなく、あなたにどんな役割をお願いすればいいのかが、まるでイメージできなくなっていくからです。それはすなわち、
「チームを編成する際に、真っ先にあなたの顔が浮かばない」
ことを意味します。
このときの依頼者の気持ちをリアルに体験するためにも、先のワークは役立ちます。あのリストを作成するときに何が起こっていたかを、別の角度から表すとこうなります。
「あなたは、彼らが発する引力によって、リストに名前を書かされた」
のです。
バックナンバー「本気になるための機会と出会いの捉え方」で書いたように、引力とは「互いに引き合う力」です。そして、人と人とのあいだに働くのは、引力の英訳「Attraction」をさらに別の意味に日本語訳した「魅力」です。
最初に依頼者は、あなたが日ごろから発している「魅力」に引き寄せられます。次に、「彼と一緒に仕事をしてみたい!」「彼にこの役割をお願いしたい!」という思いを抱きます。
そうして今度は、依頼者からあなたに向けて、「チームに誘う」という引力が発せられます。それを受けたあなたは、依頼者の思いという「魅力」に引っ張られて、そのチームに加わることを決意するのです。
この「互いに引き合う力」によって起こる出来事の、
「すべての始まりは、あなたが発する魅力にある!」
という点に注目してください。
これまでの「本気シリーズ」全7話を読んだあなたなら、すでに「どうすればその引力や魅力を強められるのか?」の答えはわかっていると思います。
A:「いま目の前にあることを本気で行う」
B:「他の人から依頼されたことは、原則として即座に本気で行う」
この2つのことを実践すればいいだけです。
まず、あなたという「原石」がそこにあるとイメージしてください。ただし、現時点では、どこをどう磨いていけば最高に輝くのか、あなた自身もよくわかっていません。
けれども、あなたが何かを本気で行うたびに、確実にある部分が磨かれていき、他の人にも見える「魅力」という光を放ち始めます。
その光を見つけた人は、自然とあなたに引き寄せられ、光の種類に応じた何かを依頼したくなります。あなたはもちろん、その依頼を即座に本気で実行します。
すると、最初の「魅力」はよりいっそう輝きを増すと同時に、今回の依頼によって磨かれた新たな部分から、また別の光が発せられるようになります。
こうしてあなたという「原石」には、次々と多面体のカットが施され、あなたの個性を忠実に反映した「唯一無比の形」へと変わっていきます。
その姿を目撃したあなたは、それまでノイズにまみれていた「自分の好きや得意」にも気づいていくでしょう。もはや、それに挑むのに躊躇することもありません。
それだけでなく、あなたの発する「魅力」の光が強まっていくことで、他の人からの依頼の質や中身もどんどん「あなたのしあわせな役割」に近づいていきます。
本気を発揮すればするほど、初めのうちはどうしても混ざっていた、「え? マジかよ? これを自分がやるの?」という、あなたにふさわしくない依頼も減っていくということです。
以上が、本気モードから得られる最後の報酬、
⑤ 強い引力を発するようになる。
の全貌です。
今話も含めた全8記事をまとめるとこうなります。
「他の人とのつながりの中で生きている私たちは、自分ひとりの、自分のための努力だけでは、自分がどのような価値をもち、どのような役割を果たすべき存在なのかを知ることはできない」
この足りないピースを埋める唯一の方法が、「他の人から依頼には即座に本気で応える」ことだと私は確信しています。
本気モードを実践するハードルと、それによって得られる恩恵のどちらが大きいかを具体的に伝えたいと思い、8日間をこのテーマに費やしてみました。
年の瀬というタイミングもわるくないと思います。もし、この数日の記事で何かを感じられたなら、たとえ失敗したとしても、失うものなど何もない「いつでも本気を出す」という試みに、ぜひチャレンジしてみてください!
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