本気が「自分は弱い存在」という妄想を消す

どんなときでも、グッドバイブスの出発点とゴールはここにあります。

「すべての人に絶対不変の価値と創造力が等しく宿っている」
「私たちは完璧な存在としてこの世に生まれてきた」

この前提なしには、自他の区別のない「ひとつ意識」も、何があっても平安を失わない「完全無欠のしあわせ」も実現しえないからです。

けれども、私たちのほとんどは、現在の自分を見て「たしかに不変の価値がある。そして完璧だ!」などとは感じられなくなっています。

その原因を生み出しているが、このところ連日のように書いている「イリュージョン」なのです。

私たちはいつしか、望ましくない出来事や、自分を攻撃してくるように見える他の人々から身を守る術として、

「現実がより危険なものに感じられるように、五感に負のフィルターをかける」

という荒技を思いつきました。

これによって、自分以外の人や未来に起こることは「実際より危ないもの」に映るようになります。備えあれば憂いなし。こうしておけば、何があってもうろたえたり、失望したりすることはなくなるという作戦です。

でも、これだけではまだ十分ではありません。もし、それを迎え受ける自分を「強靱な存在」とみなしてしまうと、つい油断してしまうかもしれないからです。

そこで、防御を強化するために、自分自身が次のように見える、もうひとつのフィルターをかけておくことにしました。

「私は、傷つきやすくて、とても弱い存在である」

こうして完成したイリュージョンによって私たちは、生まれながらに手にしていた絶対不変の価値や創造力、そして完璧であることを忘れてしまったのです。

グッドバイブスのゴールは、これらすべての幻影を取り除き、もう一度、冒頭に書いた「本来の自分」に戻ることにあります。

拙著『グッドバイブス ご機嫌な仕事』やこのブログで書いてきたように、その具体的な方法は2つあります。

ひとつは、「意味づけ」や「未来の予測」「罪悪感」などの妄想を手放すことです。こちらは、

「いま以上にイリュージョンを創り出さないこと」
「過去に身につけてしまった負のフィルターを取り除くこと」

に役立ちます。

そして、もうひとつの最強のメソッドこそが、

「いま目の前にあることを本気で行う」

なのです。

最初の「妄想を手放す」によって、私たちは次第にイリュージョンではなく、実は想像よりもはるかに安全な「現実」を見ることができるようになります。

それはすなわち、私たちに「平安な心」が訪れ始めたことを意味します。でもこれだけでは、まだあのゴールにたどり着くことはできません。

本来の「完全無欠な自分」を思い出すためには、最後のピースである、

「Yes I Can!」(たしかに私はそのような存在としてふるまえる!)

という実感が必要なのです。

グッドバイブスにとって、悩みや不安が消えたり、他の人が怖くなくなったり、罪悪感を手放せたりするのは、ゴールに向かうためのほんの入り口にすぎません。

本当のお楽しみはこれからです。次は、そのようにして手に入れた「いい感じ」を使って、

「本来の自分にできたことを、ひとつずつ実行してみる!」

という本編が待ち受けています。

その具体的な方法が、「いま目の前にあることを本気で行う」と捉えてください。

これで、前話の最後に書いた「なぜ、私がそこまでして本気にこだわるのか?」の理由も明らかになったと思います。

そこで、今日はもうひとつの疑問、「で、本気になると、どんないいことが起こるの?」にも答えておこうと思います。

その前にもう一度、言葉の定義を確認しておきましょう。「本気」とは、

「いまこの瞬間に、自分がもてる最大のエネルギーを注ぎ込む」

ことにほかなりません。

がむしゃらにやる、息切れしてもやる、倒れるまでやる、無理をするなどはすべて「恐れや不安」に基づくものであって、「本気を出す」とは真逆の行動です。

ではいきましょう。まずはこれからです!

① 時間の概念がなくなる。

私たちはいつも「外の時間」に合わせて行動しています。あと何分、あと何日、あと何年、これらはすべて外の時間です。それは、最初からこの世界にあった概念ではなく、私たちが何かの理由で創り出した人工的な尺度です。

とはいっても、仕事で何かを行う場合などは、現実として外の時間に束縛されていることに変わりはありません。

けれども、いまこの瞬間に最大のエネルギーを注ぎ込んでいるあいだ、時間の刻みは完全に消え去ります。自分で設定しておいたアラームが鳴るか、誰かに「終わりだよ!」と言われるまで、永遠の時間の中にいるかのような感覚を味わえます。

このとき私は、自分の行動を粒子レベルまで細かく見られるようになる気がします。時間が止まって、五感の解像度がグッと増すような感じでしょうか。

その結果、アウトプットの質は確実に高くなり、場合によっては速度が上がることもあります。拙著で書いた「自分のアウトプットに自分が癒される」のもこの効果によるものです。

② 疲労感や消耗感を抱かなくなる。

本気でいるあいだはノーストレスです。精神的な疲労を感じることは皆無といってもいいでしょう。身体を動かす仕事の場合、部分的な疲れを感じることはありますが、本気で休憩すれば、強力版のユンケルを飲むよりもスッキリと回復します。

先日、3時間のセミナーと2時間の懇親会のあと、1時間かけて移動して3時間のバンドリハーサル、2時間半かけて帰宅後にブログの執筆に3時間という、それなりにハードな一日がありました。

ただ目の前のことにエネルギーを注ぐだけなので、どこまでこなせるかなどは考えてもいませんでした。さすがに帰宅途中には、「おお、このあとブログかぁ。面倒くせぇなぁ」などとつぶやいてしまいましたが、本気でやった結果、すべて無事に完遂できました。

翌日の朝、目が覚めたらボロボロになっていたなどということも、この数年は経験していません。御年57歳というそれなりの高齢にもかかわらずです。

③ なぜか身体に不調が起きなくなる。

この話は「あくまで個人の感想」として読んでください(笑)。グッドバイブスの取り組みを行う以前、私は週に二度から三度は整体やマッサージ、鍼灸などに通っていました。16歳くらいからずっと、ひどい肩こりに悩まされていたからです。

また、病院で検査をすると20項目中、18個に該当してしまうほどのアレルギーもちです。花粉はもちろん、ハウスダストから家で飼っているネコまで、あらゆるものにやられていました。ひどいときには喘息になったり、皮膚に無数の発疹が出たりもしました。

あと、ワンシーズンに1回は確実に風邪をひくというのも加えておきましょう。

本気モードを発揮し始めてからの私はずいぶんと変わりました。マッサージはこの4年で2回しか行っていません。アレルギーは相手が何であろうと、鼻水が出るくらいの症状で治まっています。風邪も2年に一度かかるくらいだと思います。

ただし、なぜそうなるのかの理由については、私もよくわかっていません。この点については、佐々木正悟さんが自身のポッドキャスト番組『グッドモーニングバイブス』で楽しく語ってくれているので、よかったら聴いてみてください。

というところで、今話もそろそろいい感じの文字数になってきました。まだあと2つ、何としても伝えたい「本気モード」から得られる最大の報酬が残っています。

④ 与えるすごさを実感できる。
⑤ 強い引力を発するようになる。

今話で紹介した3つの「いいこと」は、基本的に自分の中で起こることです。このような変化を体感することで、先の「私は、傷つきやすくて、とても弱い存在である」というイリュージョンを払拭できるようになります。

それに対して、上記の④と⑤は、あなたを取り巻く人々に大きな影響を与え、それがそのまま自分に返ってくるという、もっとダイナミックな恩恵になります。

これによって私たちは、

「自分以外の他の人々や、この世界を危険なものと見るフィルターは不要だった」

という事実に気づくことができます。

明日はこのあたりの話を詳しく書いてみようと思います!