グッドバイブス総集編①「イリュージョン」

今年も残りわずかとなりました。1年をとおして、2月に刊行の『グッドバイブス ご機嫌な仕事』や、このブログをご愛読いただき、本当にありがとうございます!

早いもので、今週の記事が2019年のラストなります。そこで、今日から金曜日までの5話にわたって、グッドバイブスのメソッドをギュッと凝縮した、総集編のようなものを書いてみようと思います。

「最近はずいぶんといい感じになってきた。なんとかこの状態を持続させたい!」
「まだ平安と不安を行ったり来たりしている。グッドバイブスを定着させたい!」

そんなあなたに、うまくいく秘訣や、見落としがちなチェックポイントを、まとめてお届けします!

まずは、グッドバイブスのスタート地点を確認しておきましょう。

「私は、絶対不変の価値と、創造力を携え、しあわせな存在、グッドバイブスな存在としてこの世界に誕生した!」

このことを無条件に確信するところからすべてが始まります。

現状の自分を見たときに、とてもそのようには思えないとしてもかまいません。いまは疑念だらけでも、「きっといつかは、自分がそのような存在であったことを思い出す!」と信じていてください。

ここが揺らいでしまうと、すべての取り組みが、自分にはとうてい到達できないはるか高みのように感じてしまいます。グッドバイブスになるのではありません。

「あのグッドバイブスだったころの自分に戻る!」

だけのことです。

次に、そんな私たちにとって「あたりまえの状態が何か?」を、いつでも忘れることなく、しっかりと胸に刻んでおきます。

それはもちろん、

「心にさざ波ひとつ立っていない平安な心でいること」

です。

しあわせな存在として生まれてきたのだから、しあわせであるのが当然です。これが私たちにとって唯一の「現実」なのです。

日々の生活の中で、怒りや不安などの負の感情を抱いて、少しでもこの平安が揺らいだときは即座に、いまの自分の状態を疑います。

「本来、しあわせであるはずの自分が、こんな嫌な思いをするのはおかしいぞ!」

繰り返しますが、あなたが平安であることだけが「現実」です。もし、それが崩れたとしたら、あなたは現実ではない何かを見ているということです。

ザワッときたらその瞬間に、

「いまグッドバイスでないなら、私は何かのイリュージョンを見始めている!」

と、気づく習慣をつけてください。

私たちに「恐れや不安」を抱かせ、負の感情を湧き起こす「イリュージョン」は大きく分けて3つあります。いま自分が、このうちのどれを頭の中でやっているかを見極めます。

① 意味づけ
② 過去と未来の妄想
③ 罪悪感

「そうでない可能性があるにもかかわらず、そうであると結論づけていること」が、①の「意味づけ」です。おもに、いま目の前で起こっている出来事や、他の人の言動が対象になります。あなたがそれらに対して下してしまった判断に注目してください。

難しい、恐い、ひどい、少ない、多い、嫌な、ムカつく、面倒な、やっかいな、遅い、できない、終わらないなどは、状況にかかわらず、すべて「意味づけ」とみなして間違いありません。

終わってしまったことへの後悔や、望ましくない未来の予測などが、②の「過去と未来の妄想」です。

実際に存在していて、私たちが何かを行える現実の時間は「いまここ」しかありません。どれだけ心配であっても、どれだけ悔やんでも、過去と未来にあるものは例外なくイリュージョンであることを受け入れてください。

あなたがやってしまった間違いや、他の人から受けたひどい仕打ちなどに「罪」のラベルを貼ると、③の罪悪感が生まれます。「罪」は単独では存在できません。かならず「罰」とセットで現れることになります。

自分を責めたくなるのも、他人に報復したくなるのも、「罪」の意識をもったことで、「罰」を与えようとするからです。でも、どれだけひどい罰を与えても、それで罪が完全に精算されることはありません。罰しても罰しても足りないのです。

ぜひ、

「どれだけやっても終わらないものは、すべてイリュージョンである」

という事実を覚えておいてください。「罪」もまた幻影であるということです。

これら3つのイリュージョンから解放される方法は、ひとつしかありません。自分で創り出してしまった深い霧を振り払い、

「もう一度、現実に本当のことを教えてもらう」

のです。

①の「意味づけ」に気づいたら、すべての判断を取り消して、あなたの目の前の出来事や、あなたの目の前にいる人々を、穴が空くほど真剣に凝視しながら、

「いま、何が起こっているのか、この人は何を考えているかを観察する」

ことに注力します。

②の「過去や未来の妄想」のうち、過去の後悔については、無条件で手放すしかありません。「そのことについて思い悩むことに、どんな意味がある?」と自問しながら、考えを止める努力をしてください。

望ましくない未来の妄想が止まらないときは、

「完璧に予測できない未来についてあれこれと思案して何になる。それが実際に起こる場面に立ち会えば、かならずどう対処すればいいかわかる!」

と自分に言い聞かせます。

そのうえで、あなたはこれまで、自分の予想に反したことに数多く出くわしてきたこと、それだけでなく、そのすべてを「いまここ」のアドリブで乗り切ってこられたことを、真摯に思い出してください。

自分や他の人に対して、③の「罪悪感」をもったときは、

「これに罪のラベルをつけてしまえば、自分や相手を攻撃したくなる。でも、実際には罪など存在しない。いまどんな間違いが起こっているのかをしっかり見定め、それを修正することにエネルギーを使おう!」

と考え、他の2つと同様に「ただの間違いにすぎない」という「現実」を見に行くようにします。

もし、どうしても「意味づけ」や「過去と未来の妄想」「罪悪感」を手放せないときは、次の事実を、いっさいの妥協なく、心の底から受け入れているかを再確認してください。

「自分は本当のことを何も知らない!」

すべてのイリュージョンはあなたの「判断」から生まれます。そして、その根拠はどんなときでも、「自分はこのことについてわかっている!」という、あなたの「正しさ」です。

「この判断を変えるなんて、絶対にありえない!」思ったときは、あらためて次の項目について、あなたが何を知っているかをチェックしてみてください。

・ 未来に何が起こるか?
・ ある出来事が、自分や他の人にどのような影響をもたらすか?
・ 他の人が何を思い、何を考えているか?

すべての答えは「わからない」であるはずです。

この結果に落胆する必要はまったくありません。それどころか、この事実こそが、私たちにとっての唯一の救いだと考えてください。

もし、あなたの行った「意味づけ」や、望ましくない未来の予測が完璧に正しければ、いまあなたの中にある苦悩が消える可能性もゼロになります。

「本当のことを何も知らない」あなたが、正しくない判断をもとに頭の中で創り出したイリュージョンだから、そこを抜け出すことができるのです。

毎朝、目を覚ました瞬間に「自分は本当のことを何も知らない!」と宣言してください。私はいまでも、一日も欠かさずにこれを続けています。

心の中でそう言いながら、同時に、

「毎日、あの本来の自分として生まれ変わる」

様子をイメージしています。

最後に、この取り組みの本質が、毎秒、毎分の「選択」にあることを忘れないでください。心が揺れ動いたときには、シンプルにただ、次のことを自問します。

「いま私は、現実を見て、本来のしあわせな自分に向かうことを選ぶのか、それともイリュージョンを見て、恐れや不安の中で生きることを選ぶのか?」

前者を選び続けることが、あなたに求められている、たったひとつの課題です。

「それが難しい」「でも手放せない」と思ったとしたら、「なぜ私は、そうまでして、しあわせであることを拒むのか?」の理由を探してください。

「相手に復讐せずにはいられない」「この出来事を楽観的に見てしまったら、あとで痛い目に遭う」「どうしても赦したくない」などのモヤモヤした気持ちが見つかるはずです。

ここで自分をごまかすことなく、次のことを吟味してください。

「この方向に進むことで、本当に心が晴れるような解決にたどり着けるのか?」

そう確信できないなら、もう一度、先の言葉を思い出します。

「どれだけやっても終わらないものは、すべてイリュージョンである」

「なるほど」と思えたら、躊躇せずに、この記事の冒頭からやり直してください。

「本来、しあわせな存在として生まれてきた私たちが、自分自身を苦しめるようなイリュージョンを創り出したとしたら、それは自分の選択によって、いつでも消し去ることができる。そして、そちらを選ばない理由などあるはずがない!」

ここをスタート地点にしさえすれば、グッドバイブスの取り組みに失敗はありえないのです。

イラスト:大橋悦夫