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総集編②「他の人をグッドバイブスに導く」

昨日からお届けしている年末特番、グッドバイブス総集編の第2話は、

「平安な心を得られた自分として、他の人をグッドバイブスに導く」

ためのメソッドについて書こうと思います。

ふだんの生活に当てはめるなら、あなたに怒りをぶつけてくる人、あなたが「それは悲しい」「それは許せない!」と感じる言動をする人、大声で怒鳴り散らす上司、まさかのタイミングで理不尽に思える依頼をしてくる家族などと向き合いながら、どのようにして「平安な心」を保つかがテーマです。

まずは、この取り組みを行ううえで、忘れてはならない2つの準備を確認しておきましょう。ひとつめはこれです。

準備1:「けっして深刻にならずに、俯瞰の視点とゲーム感覚で挑む!」

このブログの一周年を記念して書いた記事、「私たちはイリュージョンの世界に住んでいる」にあるように、そもそも私たちは、自分の判断や解釈といったフィルター、すなわち「意味づけ」を通して出来事や他人の言動を見ています。

前話のメソッドはまさに、その幻影から抜け出して「ありのままの現実」を目撃するためのものでした。けれども、私たちはまだ道半ばにいます。

少しでも油断すれば、すぐに「恐れや不安」が押し寄せてきて、イリュージョンに飲み込まれてしまうでしょう。

そこで、この取り組みの成功体験をそれなりに重ねるまでは、

「しょせんは仮想現実の世界で起きていることだ!」

と開き直って、コントローラーを片手に幾多のミッションをクリアしていく、ゲーマーの気分で乗り切っていくことをおすすめします。

いま自分が直面している状況を「映画のワンシーン」と想定するのもいいでしょう。ただし、あなたは主人公ではありません。自分も含めた全体のカットを俯瞰で眺めながら、役者に細かく指示を出す「監督の立ち位置」にいてください。

どんなときでも、あなたの心を揺らす出来事は、予想を裏切って突然、やってきます。そんなときに、一瞬で映画監督の「俯瞰の視点」と、たかがバーチャルと割り切る「ゲーム感覚」を得るための魔法の言葉があります。

「ほお、そう来たか!」

「あ、ピンチだ!」と思ったら、何かを考えたり行ったりする前に、かならずこれを唱えてください。

そのうえで、目の前で起こっていることから一歩退き、ディレクターチェアーにドカッと腰をおろして歩を進めるのが、このメソッドを成功に導く秘訣です。

2つめの準備はこれです。

準備2:「けっしてひとりではしあわせになれないという事実を受け入れる」

なぜ、自分を不愉快にさせる嫌な人を、わざわざグッドバイブスに導くかの理由もここにあります。

たしかに前話のメソッドをアンガーマネージメントように使えば、怒りをぶつける人から自分を切り離して、あなただけが「平安な心」を保つことはできます。

でもその人は、これからもあなたの人生に繰り返し登場し続けるはずです。だとすれば、彼らが二度と望ましくない言動をしないように、グッドバイブスに誘うことは、自分のしあわせにとってけっして損な選択ではないのです。

この話を深掘りすれば、拙著『グッドバイブス ご機嫌な仕事』の「ひとつ意識」までいってしまうのですが、いまはごくごく単純にこう考えてください。

「目の前にいるこの人がグッドバイブスになれたら、私の悩みも消え去る!」

2つの準備が整ったら、いよいよ実践の始まりです。

原因が何であれ、望ましくない言動をとる人があなたの前に現れたときは、真っ先に次のことを思い出してください。

① この人の発している言葉や、行っている行動には、何の意味もない!

それがどれだけ恐ろしい怒号であっても、イラつきを抑えられない不快な振る舞いであっても、相手の言葉や行動そのものには反応しないということです。

もし、ビビったり、はらわたが煮えくりかえりそうになったりしたら、先の「監督の立ち位置」をしっかりとイメージし直すことが大切です。あなたはいま、カメラのファインダーをのぞきながら、次のシーンを撮影しようとしています。

「おかしな言動をする人の前に自分が悠然と立っている。これから、双方がグッドバイブスになるというゴールを目指して、ひとつのチャレンジが始まる!」

状況に飲み込まれて深刻になってしまえば、あなたはもう思うように動けなくなります。心が揺れそうになったときは、かならずこの視点に戻る習慣を身につけてください。

次に、もうひとつの魔法の言葉を心の中でつぶやきます。

②「どうした? 何が不安なの? 何が恐いの?」

相手が年上であろうと、上司であろうと、セリフの中身を変える必要はありません。そう言いながら相手を凝視して、彼をこの「おかしな言動」に駆り立てている「原因」を探ります。

どんなときでもその正体は、

「恐れや不安」

であると思ってください。

あなたのミスを執拗に責め立てる課長なら、それによって自分の部署が、目標の数値を達成できなくなることを恐れているかもしれません。さらに上の部長から「部下の指導が甘い!」と指摘され、評価が下がることが不安なのかもしれません。

あなたの家庭への貢献度が低いことに腹を立てている奥さんや旦那さんなら、「自分はこの人に大切にされていない」「このままではしあわせな暮らしは望めない」ことが恐くてたまらないのかもしれません。

①の「発言や行動自体に意味がない」理由がここにあります。

たとえば、「ミスをした原因」や「手伝えない理由」を正当化したり、相手の言い分が間違っていることを指摘したりすれば、上司や家族の「恐れや不安」が消えるかを考えてみるのがいいでしょう。

あなたにぶつけられるすべての「望ましくない言動」は「結果」です。そして結果は、すでに「変えることのできない現実」となってしまっています。ここをどうにかしようと努力しても、事態が好転することはないのです。

重要なのは、そのような言動を選択するにいたった「原因」に着目することです。ぜひ、次のように捉えてください。

「恐れや不安を抱いた人はおかしな言動をする。だから、恐れや不安を取り除くことさえできれば、誰もが本来のグッドバイブスな姿に戻る!」

もちろん、あなたも私もけっして例外ではありません。自分も含めて、誰ひとりこのメカニズムから逃れられていない事実を思い出せば、「結果に罪はない!」と認められるはずです。

ここでもう一度、今度はあなたが愛してやまない自分の子どもに向けて言うように、先の言葉を反復してみます。

「どうした? 何が不安なの? 何が恐いの?」

そのまま、相手の言動の奥底に隠れている「恐れや不安」に注目してください。

もちろん、上司に対して「あなたは自分の立場が危うくなるのが恐いのですか?」などとストレートに聞けるはずはありません。家族の場合もまったく同じです。

だからといって、安易に相手の心を読もうとすれば、勝手な判断や解釈が始まり、今度は「意味づけ」の罠にはまることになります。

あくまで、前話の宣言、

「自分は本当のことを何も知らない!」

のスタンスのまま、「たしかに見えた!」と確信できるまで、目の前にいる人の「恐れや不安」を探り続けてください。

その場では何もわからないことも少なくありません。場合によっては発見までに数日を要することもあるでしょう。そのあいだは、いっさいの判断を保留して、わかるまで彼らにつきあってください。

私はもう何年もこの取り組みを続けていますが、最後の最後まで謎のままだったことは一度もありません。あきらめずにトライすれば、いつかかならず、「なるほど、これか!」というものにたどり着けます。

そうして、相手の「恐れや不安」を見つけられたら、

③「この人の恐れや不安を取り除くために、私にできることは何か?」

を考えて、即座に実行してください。

多くの場合、そのための具体的な行動は、予想に反してあなたにとってそれほど難しくないものであるはずです。

もうひとつ、このメソッドでもっとも重要なポイントは、

「自分からの攻撃は、いっさい封印する」

ことにあります。

なぜならば、あなたの攻撃は相手の「恐れや不安」を増大させるだけだからです。ここまでを読めば、それがどれだけ今回のゴールから遠ざかる行為かは、それほど抵抗なく納得できると思います。

怒りに対して怒りで応戦する。相手を心底、嫌いになる。しっかりと向き合うことなく適当に受け流す。言われたことを形だけやってお茶を濁す。これらはすべて、あなたから相手に繰り出される「攻撃」と捉えてください。

もしあなたが、ひとりでも「他の人をグッドバイブスに導く」ことに成功すれば、

「攻撃という手段で何かを解決できる」

という、私たちが長年のあいだ信じてきた、もっとも虚しくて無力なイリュージョンからも脱出できるはずです。

最後に、この取り組みには基本的に失敗はないと思ってください。

相手の「恐れや不安」が見つからない場合でも、発見できたのにそれを取り去れなかった場合でも、あなたの「何とかしたい!」という思いは、それほど遠くないタイミングで彼らに共鳴し始めるからです。

本来なら敵視するはずの相手に対して、いっさいの攻撃を手放し、グッドバイブスに導こうとした選択そのものに意味があるのです。

結果はまったくといっていいほど重要ではありません。グッドバイブスの伝播は、いつでも「プロセス」の中で起こることを忘れないでください。

 イラスト:大橋悦夫