拙著『グッドバイブス ご機嫌な仕事』に次のような記述があります。
「あなたは、この世界や他の人々と同じ価値をもつ素晴らしい存在である」
見方によっては、何か楽天的な気休めや、あまり効果のない慰めを言われているような気がするかもしれません。
けれども、私はこのことを本気で確信しているし、本を読んでくれた人たちに真剣に伝えたいと思っています。なぜならば、この前提なしには、グッドバイブスに書いた事柄を実践しようとしても、まずうまくいかないからです。
ただ、とても残念なことに、多くの人はこう言います。
「どうしても、自分にそんな価値があるとは思えません……」
そこで今日は、セミナーやパーソナルセッションなどで直接、この回答を受けたとき、私がかならず話すようにしている「自分の価値を認めるヒント」を書いてみようと思います。
まず、あらためてグッドバイブスの基本姿勢を確認しておきましょう。拙著で全9章にわたって書いたことをたったひと言で要約するとこうなります。
「いつでもしあわせな選択をする」
怒りや不機嫌さのメリットを手放す。「意味づけ」を手放す。過去や未来に囚われず「いまここ」にいる。罪悪感を手放す。「ひとつ意識」をもつ。すべては自分がしあわせであるための選択です。
ところが、日々、これらのメソッドにトライしているあなたならわかると思いますが、どれだけ頭で理解していても、なぜかそちらを選びたくないことがあります。
「もういい! あとでどれだけ思い悩んでもいいから妄想したい!」
「どれだけ状況が悪化してもいいから、この憎い相手を攻撃したい!」
といった誘惑にどうしても勝てない瞬間がたしかにあるのです。
そんなとき、もう一度、歯を食いしばってグッドバイブスでいようと思わせてくれるのは、どんなときでも、
「いや、ここであきらめたらダメだ! 私はしあわせであるべきだ! なぜならば、私は生まれながらにしあわせな存在なのだから!」
という意志と信念です。
もしここであなたが、自分をそのような存在と確信できないとしたら、「これが私なのだから仕方ない」と白旗を揚げながら、安易に「不幸な選択」に流れてしまうのは必然です。
やはりこの取り組みには、冒頭に書いた「あなたは、この世界や他の人々と同じ価値をもつ素晴らしい存在である」を無条件で受け入れることが不可欠なのです。
でも、多くの人はここで「そう思える根拠がない」と言います。
それはおそらく、バックナンバー「自分と他人とこの世界を信頼するための根拠」で書いた、
「私たちは何の役にも立たない存在としてこの世に生まれてきた。だから、存在価値を高めるためにがんばらなくてはならない!」
という、右肩上がりの成長志向が原因だと私は考えます。
いったい、どうすれば私たちは、スキルや能力、経験、地位、名声、権力、財力などの「あとづけの価値」ではなく、生まれながらに手にしている素晴らしい価値に目を向けられるようになるのでしょうか。
そのヒントは私たちの身近にあります。そう、
「あなたの子ども」
です。
お子さんがいない人は想像でもかまいません。「目に入れても痛くないほどかわいい自分の子ども」をひとりイメージしてください。あなたはその子の親です。
ある日、その愛しい子どもがあなたにこう言いました。
「私なんて何の価値もない人間だよ。だから不幸になっても仕方ないんだよ」
それを聞いたあなたは、この子に何を言ってあげるでしょうか。
間違っても、「そうだね、そのとおりだね」などと返す親はいるはずがありません。キッパリと「絶対にそんなことはないよ!」と断言するに決まっています。
ところが、ここまで思い詰めた子どもに、そんな気休めのような言葉は通用しません。納得するどころか、次のように質問してきます。
「何を根拠にそんなことが言えるの?」
もちろん、親としてここで黙り込むわけにはいきません。かなりの難題だとは思いますが、ぜひ、この子を説得するに十分な言葉を考えてみてください。
「たしかにいまは価値がないけど、これからたくさん努力すれば大丈夫だよ」などと言うのは絶対にNGです。それではこの子に「やっぱりいまの私は無価値ってことじゃない!」と反論されるだけです。
あなたなりに満足のいく答えが出せたら、それをそのまま一字一句、変えることなく、自分自身に贈ってください。これが、あなたのほしかった「そう思える根拠」です。
同時に、あなたが子どもにその言葉を伝えるときに抱くはずの、
「何があっても、いつでも、お前はしあわせでいてくれよ!」
という強い思いをしっかりと覚えておくようにします。
最後に、ここまでイメージしてきたその小さな子どもを、胸のあたりにしまっておいてください。これで、あなたの中に、
「生まれながらに手にしていた、絶対に変わることがない価値」
が再インストールされました。
ここからは、自分に負の感情を抱かせるような「意味づけ」をしたくなったとき、どうしても望ましくない未来の妄想が手放せないとき、罪悪感に苛まれそうになったとき、相手を攻撃したい気持ちが抑えられないとき、その瞬間に、
「そちらを選んだら、私の中にいるこの子がしあわせでいられなくなる」
という重大な事実を思い出してください。
これで、「いつでもしあわせな選択をする」準備は完了です。あとは、あなたの中の「素晴らしい価値」を頼りに、
「しあわせフェチ」
に徹すればいいのです。
いうまでもなく、グッドバイブスの著者である私も、貪欲にしあわせを求め続ける「しあわせフェチ」です(笑)。
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