グッドバイブス流「こじれた関係」の修復法

今日は「こじれてしまった人間関係をどうやって修復すればいいか?」について、グッドバイブス流のやり方を書いてみようと思います。

上司と部下、同僚、夫婦、親子、兄弟、友人など、たいていの関係には使えるはずです。ただし、もめてナンボだったり、百の言葉よりも黙ってギュッと抱きしめることが解決になったりする、恋愛に関しては例外としておきましょう(笑)。

まずは準備編です。これから書くプロセスを行うためには、あなたの中に「なんとかしてこの関係を修復したい!」という意志があることが大前提になります。この部分をしっかりと確認してください。

また、もしそう決意していたとしても、「なぜ自分だけが?」「相手も何らかの努力をすべきでは?」といった不公平感をもっているとうまくいきません。もう一度、なぜ関係を修復したいと思ったのかを確認してください。

おそらくそのきっかけは、

「いまのままでは、いつもドキドキ、モヤモヤして、平安な心でいられないから」

ではないでしょうか。

ということは、この試みは100パーセントあなたの都合と捉えることもできます。それならば、最初から相手に何かを期待するのはやめておくのが得策です。

どちらにしても、うまくいけばあなたは「平安な日々」という大きな報酬を得られます。少しでも不公平さや理不尽さを感じたら、最後にはきっとチャラ以上になると信じて、前に進んでください。

では始めましょう。この修復プロセスは3つのフェイズに分かれます。最初は、

① 自分の心を白紙にするフェイズ

からです。

関係がこじれているということは、あなたの中に相手への「よくない印象」が数多くあるはずです。もちろん、相手のあなたに対する印象も、同じくらい好ましくないでしょう。

そして、それぞれの「よくない印象」はすべて過去の出来事によって生まれたものです。これによって、2人が相対するとき、次のようなことが始まります。

「過去のよくない印象を元に、相手の言動によくない意味をつける」
「過去のよくない印象を元に、相手のよくない言動を予測する」

あなたの中で行われるこの2つの「変換」によって、相手が何を言っても、何を行っても、すべては「ムカつく」「腹が立つ」「イライラする」言動に見えてしまいます。

そしてこのことが、2人の関係をこじらす大きな要因になっているのはいうまでもありません。そこで、「いま」以前に相手に対して下した判断を、すべて手放すようにします。

けっして、何かをされたこと自体を忘れろと言っているわけではありません。どれだけ努力してもそんなことは不可能です。そうではなく、相手の言動につけた意味をすべて白紙にするのです。

意地悪なヤツ、話が通じないヤツ、自分勝手なヤツ、使えないヤツ、相手につけたすべての形容詞を外してください。このブログで書いてきた「自分は本当のことを何も知らない」を受け入れれば、自分がした判断の信憑性も薄れます。その事実を頼りに手放してください。

完璧を目指す必要はありません。少なくとも、白紙にする努力をしてもいいと思えたら次のフェイズに進みましょう。

② すべてを伝え、聞くフェイズ

なるべく早いタイミングで、時間を気にせずに相手とゆっくり、じっくり話せる場を設けます。

相手が上司の場合、頼みにくいかもしれませんが、そもそも関係がこじれるような間柄であれば、それほど遠い存在でもないはずです。勇気をもって、「話したいことがあるので、時間を作っていただけないか」と伝えてください。

ただし、メールやチャットなどのテキストで行うのは厳禁です。かならず対面で行ってください。相手が遠方で会えない場合は、ZOOMやSkypeなどの顔が見える会議システムがギリギリの線です。

アポが取れたら、相手に会う直前に、次のことを固く自分に誓います。

「今日は何があっても、相手を攻撃しない!」

ここでいう「攻撃」とは、怒る、憤る、不機嫌になる、言葉を荒げるなどの行動を指します。感情を抑えようとするのではなく、そのような手段をすべて封印すると捉えたほうがうまくいきます。

相手に対面したら、2つのことを「愛をもって」伝えてください。

・いま我々の関係はよくないと思う。
・私はこの状況をなんとか改善したいと願っている。

そのうえで、相手に次のことを「愛をもって」質問します。

・2人のあいだにどんな問題があると思うか?
・どうすればそれを改善できると思うか?

具体的なセリフは、相手との関係に応じて最適なものにアレンジしてください。いつものあなたらしい言葉で対話すれば大丈夫です。

ここで挙げた以外にも、この問題についてあなたが伝えたいこと、相手から聞きたいことがあれば、自由に項目に加えてください。

「愛をもって」の意味はあまり深く考える必要はありません。先の「攻撃を封印する」さえ守っていれば、「愛をもって」と意識するだけで、あなたの言動は愛のあるものになります。

このフェイズの目的は、

「あなたと相手の頭の中を一致させること」

です。

あなたの思いや考えをすべて伝え、相手の思いや考えをすべて聞き尽くすことを目指してください。ここで重要なのは、想像の余地を残さないことです。

「以心伝心には頼らない」

と決め、お互いの言葉だけで「頭の中がひとつ」の状態を達成するようにします。

途中、相手からあなたを不快にするような発言が飛び出すかもしれません。そのたびに、今回の目的「この関係を修復したい!」を思い出してください。

あるいは、一方的にあなただけに改善を求めてくる場面もあるでしょう。そこで議論を始めると、さらに話がややこしくなります。同意も反対もせずに、「なるほど」と受け流して、伝え、聞くことだけに集中します。

時間がかかるかもしれませんが、なるべくこの一度の機会で終わらせられるよう、粘れるところまで粘ってください。私の経験では、あなたが相手の話に反論しなければ、2、3時間もあればなんとかなると思います。

最後の仕上げは、日々の行動における改善です。

③ ひたすら与えるフェイズ

ここからは、あなたと相手の関係によって具体的な行動が変わってきます。ひとつだけ共通するのは、

「相手に与え続ける」

という点です。

②の「すべてを伝え、聞くフェイズ」で、完全ではないにしろ、相手の考えていることをかなりの確度で理解できたはずです。その情報を元に、日々「相手があなたにしてほしいと思うこと」を全力で実行してください。

あなたが上司で相手が部下なら、彼の足りない部分を指導したり、補ったり、サポートしたり、不安を取り除いたりする行動が「与えること」になるでしょう。

反対に、あなたが部下で相手が上司なら、上司のビジョンを実現するために一肌脱ぐ行動がそのまま「与えること」になります。

夫婦や親子、兄弟など、家庭での「与える」はとてもシンプルです。単純に相手があなたに「これをやってほしい」と頼んだことを、即座に本気で遂行するだけです。同じように、「やらないでほしい」ことは、全力でやらないようにします。

ただし、どんな関係においても、どうしてもできないことは、キッパリと「それはできません!」と伝えてください。もちろん、攻撃ではなく愛をもってです。

この与えるフェイズは、先に書いた不公平さや理不尽さを強く感じる場面でもあります。「何で自分がそこまでやらなきゃならないの。だったらこじれたままのほうがまだましだよ!」と思うこともあるでしょう。

もちろん、やるかやらないかはあなたが決めることです。ただ、私の経験上、この「与え続ける」を実行して、損をしたことは一度もありません。当初の目的であった平安な日々はもちろん、想像を超えた思いも寄らない報酬も得られます。

あなたが変われば、そのグッドバイブスは相手にも伝播します。次第に理不尽さを感じることも少なくなるでしょう。そればかりか、これを繰り返していれば、いつしか「与えている」という感覚すら消えていきます。

以上が、グッドバイブス流の「こじれた関係の修復法」です。ざっと読むだけでわかるとおり、3つのフェイズをこなしていくのはものすごく「大変」です(笑)。その理由は単純明快で、こじれたものを直そうとする試みだからです。

一度でもこれをやり遂げたなら、その後のあなたは、あらゆる関係を最初からこじらせないようにするはずです。たとえ、少しばかりおかしくなったとしても、早い段階で手を打ちたいと思うでしょう。

つまり、大変なのは最初だけで、あとはとても楽になるということです。他のメソッドと同様に、あまり深刻にならずに、ゲーム感覚で挑むのがうまくいく秘訣です。失敗を恐れず、あきらめず、忍耐強くのぞめば、かならずクリアできます!