手に負えないくらい落ち込んだときの対処法

拙著『グッドバイブス ご機嫌な仕事』やこのブログで書いてきた、「意味づけを手放す」や「未来の妄想を手放す」などの話を十分に理解していたとしても、私たちはときに、もう自分ではどうにもできないと思うほど落ち込むことがあります。

チームや組織に多大な迷惑をかけるミスをした。家族の誰かが深刻な問題を抱えている。突如として収入が激減した。何かの事情で楽しみにしていたことができなくなった。好調だったビジネスが下降線をたどり始めた。顧客から辛辣なクレームを受けたなどなど。

何を隠そう、最近、肩書きに「グッドバイブス・エバンジェリスト」を加えた私も、いまだに自分で書いてきたことがまるで役に立たないと思うほど、打ちのめされ、思い悩み、エネルギーの大半を消費してしまうことがあります。

今日は、そんな大打撃を受けて失意のどん底に落ちたときに、私がいつも実践しているとっておきの「それでもなんとか立ち直る方法」を書いてみようと思います。

まず、空腹のままこの方法を実践してもあまり効果がありません。こういうときは食欲もわかないと思いますが、かならず何かを食べておくようにします。

次に、30分から1時間ほどの「ひとりになれる時間」を捻出します。ひどく消耗したままではまともな仕事などできるはずがありません。どれだけ忙しくても、まずはこの状態から抜け出すことを最優先にしてください。

静かで落ち着けるカフェでもいいでしょう。天気のいい日なら公園や広場でもかまいません。自家用車で移動しているなら車の中もわるくありません。困ったときにいつでも利用できるように、お気に入りの場所をひとつ見つけておいてください。

椅子に座って静かに目を閉じたら、何度か深呼吸しながら次の事実を確認します。頭が混乱して考えることもままならないかもしれませんが、最後の力を振りしぼってこれだけはしっかりと認識するようにします。

「いま起きていることはまさしく現実だ。でも、いまそれについて自分が判断していることはすべて幻想である」

もちろん、これだけであなたの心が穏やかになるわけではありません。けれども、ここを出発点にしない限り、私たちにこの闇から抜け出す術はないことを受け入れてください。

いまあなたは、事実と想像を明確に区別しようとしています。目の前で起きていること、起きてしまったことは紛れもない事実です。けれども、それによって自分にどんな災難が降りかかるか、どれだけひどい目に遭うかなどの判断はすべてあなたの想像に過ぎません。

場合によってはひどい罪悪感や自己嫌悪感を抱いていることもあるでしょう。それもまたあなたの判断によって生まれた幻想です。

ただし、どれだけ頭でわかっていたとしても、その妄想を振り払うだけのパワーはいまの自分には残っていないと感じるでしょう。それでまったく問題ありません。であるならば、早々にそのことを認めてしまいましょう。

「もう、自分だけではこの妄想を消し去ることはできない!」

これで準備は整いました。目を閉じたまま、次の「YES or NO」チャートを行ってください。質問を記憶していなければ、目を開けて読んでもかまいません。答えるときに再び目を閉じてください。

「NO!」と答えたくなったら、どこまで進んでいても①の質問に戻ります。答えが「YES!」の場合だけ次に進んでください。では始めます。

① いまの嫌な気持ちを手放したいか?

「心配しているほうがいい」「まだ自分を責めていたい」と思うなら先へは進めません。本来の自分を取り戻したほうが事態は好転すると信じて、回答を吟味してください。

② 自分の行った判断がその嫌な気持ちをもたらしたと認めるか?

起こった出来事をどう受け止めるかは無数の可能性があります。あなたはその中から自分に「嫌な気持ち」をもたらす判断を行ったのか、そうでないかが問われています。

③ 自分の行った判断が間違っていることを望むか?

もし、あなたの判断が絶対に正しかったとしたら、残念ながらいまの状態から抜け出す方法はありません。判断が原因、気持ちは結果だからです。間違っていた場合にのみ「嫌な気持ち」が消える可能性が生まれます。

④ この事柄について、自分は別の判断もできると思うか?

自分自身を「嫌な気持ち」にさせた判断とは別の判断があり得るかを問われています。それがどんなものかはいっさい考える必要はありません。

⑤ もし平安な心を得られるとしたら、別の判断をしたいか?

問い④を再確認するとともに、一歩進んで、あなたが最初にした判断とは別の判断を望むかを聞いています。

この問いの答えが「YES!」なら、あなたの中にいるもうひとりの自分、「大きな自分」を呼び出します。ここではあえて、「それがどんな存在か?」「自分の中のどこにいるのか?」などを考えるのはやめておきましょう。

それが確実にあなたの中にいることは私が保証します(笑)。いまは緊急事態ということで、詳しい説明はまた別の機会に。

あなたはすでに「自分だけではこの妄想を消し去ることはできない」と認めています。だから、いま大打撃を受けている自分ではなく、何があっても傷つくことのない「大きな自分」に助けを求めると思ってください。

頭の上にいる「大きな自分」をイメージしながら、次のように依頼します。

⑥ この嫌な気持ちをもたらした私の判断を取り消してください!

目を閉じて深く深呼吸しながら、頭の中でこの依頼を何度か繰り返してください。もし眠くなったら、そのまましばらく仮眠をとるようにします。仕事中ならスマホなどでタイマーをセットしておくのがおすすめです。

アラームが鳴って目が覚めたとき、風邪が治った日の朝のような気分を味わえるはずです。身体の中にあった鉛のような重さが消え、「これなら動けるかな?」と思うくらいにはエネルギーが回復していることでしょう。

そこでもう一度、あなたを悩ませた出来事に向き合ってみてください。うまくいけばこのとき、以前とは違ったアプローチの仕方を閃くことがあります。

頭に何も浮かんでこなければ、もう一度「大きな自分」に問いかけてみます。

「この出来事についてあなたの判断を聞かせてください!」

すぐに答えがわからなくても焦る必要はありません。心を静めてしばらく待っていれば、その日のうちにキーワードや映像がパッと浮かぶはずです。それをかけがいのないヒントと信じて、問題の解決に取り入れてみてください。

※ 今話のメソッドをPDFファイルにしました。A4で印刷して点線で半分に折れば携帯できます。よかったらぜひ活用してください!

「それでもなんとか立ち直る方法」Rescue.pdf