その選択が分離や分断を生み出していないか

今日は「分離や分断」について考えてみようと思います。

拙著「グッドバイブス ご機嫌な仕事」には、「この世界の見え方」を決定する2つの意識が登場します。

「バラバラ意識」と「ひとつ意識」です。

五感をとおしてこの世界を眺めたとき、私たちは他人や世界から「分離」「分断」されて、孤立しているように感じます。自分の身体が他人や世界とつながっているように見えないのだから、そう捉えてしまうのも無理はありません。

このごくあたりまえの感覚が「バラバラ意識」です。

一方の「ひとつ意識」がどんなものかはあえて考えないことにしましょう。ここでは、「バラバラ意識」とは「分離」「分断」の意識という点だけに注目します。

そのうえで、私たちが何かの選択に迫られたとき、「どちらが正しい答えなんだろう?」「どちらが自分にしあわせをもたらすんだろう?」と迷う代わりに、次のことを自問してみてください。

「この選択は、分離や分断を生み出す結果にならないだろうか?」

もっともわかりやすい例が、「誰かと別れるか?」「何かと手を切るか?」の決断を迫られる場面です。

具体的には、「恋人や結婚相手とそのまま関係を続けるか、別れるか」「会社に残るか、辞めるか」「あるグループに居続けるか、去るか」などがあります。

「別れる」「辞める」「去る」は基本的に「分離や分断」を生みます。まずは、一呼吸置いて頭を冷やし、なんとかそれを回避する方法がないかを模索してみてください。

ただ、人生においては、先に進むために「別れ」を選択せざるを得ないことも少なくありません。そのような場合でも、「分離や分断」を生まずに別れたり辞めたりする方法がないかを探ってみてください。

何かに怒りを覚え、その対象を攻撃したい衝動に駆られたときにも先の問いは使えます。また、相手の中に罪を見出し、罰を与えたくなったときも同様です。

あるいは、部下や自分の子どもの行動に問題があると感じたとします。もちろん、あなたは彼らに何らかの修正を求めなればなりません。では、それをどう伝え、どう理解してもらえばいいのか。

同じように自問してください。

「この選択は、分離や分断を生み出す結果にならないだろうか?」

ひとつの組織や集団の中で、意見の相違から派閥のようなものが形成されることがあります。あなたがそのような動きに巻き込まれそうになったときも、この問いが有効です。

「どうしても許せない」「とにかく苦手だ」と感じる人たちに、見えない心の壁を作って、自分の意識から遮断したくなったときもこれを自問してください。

そして、あなたが「グッドバイブス」を携えているのに、依然としてその真逆を行く人たちに遭遇することもあるでしょう。

そんなとき、「なんでこういう人たちがいなくならないんだろう?」と少しでも敵意を感じ、彼らを自分とは別の人種のように感じたとしたら、その意識が「分離や分断」を生み出していないか、それによってせっかくのあなたの「グッドバイブス」が失われようとしていないかを真摯に考えてみてください。

この「分離や分断」の自問を習慣にできれば、「ひとつ意識」とは何かを完全に理解できなくても、あなたの選択は自然とそこに帰結していくはずです。

Photo by Satoshi Otsuka.