「後悔先に立たず」という言葉があります。その意味は、「うまくいかなかった過去を悔やんでもやり直すことはできない。そうならないように、準備や計画を怠るな」といったところでしょうか。
たしかに一理あると思います。でも、このような考え方によって、私たちが未来を想像するとき、「絶対に後悔したくない!」と、恐れや不安を抱かずにはいられなくなっているのも事実です。
ところで「後悔」とは何でしょう?
たとえば、AとBの2つの選択肢があったとします。Aを選べば「人生A」が、Bを選べば「人生B」がそれぞれ始まります。
もし「人生A」を生きながら、「ああ、こんなはずじゃなかった」とその結果に不満を感じたら、「あそこでBを選んでおけばこうならずにすんだのに……」と思うでしょう。
このような思いを「後悔」と呼ぶのだとしたら、私たちはとてもおかしなことをしていることになります。なぜならば、Aを選んだことによって始まった「人生A」の世界には、Bを選んだ「人生B」は存在しないからです。
ではいったい、私たちはいまの人生を何と比較して「後悔」するのでしょうか。
もし、ものすごく高性能なスーパーコンピュータがあって、選んでいない「人生B」を完璧にシミュレートして見せてくれたとしたら、「ほら、Bだとこうなっていたじゃない!」と「後悔」することはできます。
でも、現実にはどれだけテクノロジーが進歩しようと、存在しない人生を完璧に再現するコンピュータなど作れるはずがありません。
つまり、私たちが「後悔」と呼んでいるものは、自分の頭の中で勝手に作り上げた架空の「人生B」から生まれているに過ぎないのです。
未来はだれにも予測できません。だとすれば、そもそも「AとBのどちらを選ぶか」にそれほど大きな意味はありません。
それよりも重要なのは、
「選んだあと、その選択を後悔しないようにいまここで行動すること」
ではないでしょうか。
不確かな未来の予測が生み出すのは「恐れや不安」ばかりです。その反対に、「いまここ」にはその「恐れや不安」をひとつずつ消し去れる「行動」があなたを待っているのです。
Photo by Satoshi Otsuka.
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