仕事で行うすべてのアクションを目的とする

私たちがゴールや目標としてとして書く文言は、実際に行えるアクションではありません。たとえば、「2020年東京オリンピックに出場する」はゴールを表していますが、「オリンピックに出場する」というアクションはこの世に存在しません。

「オリンピックに出場する」ためには、「ランニング」「筋肉強化」「素振り」「マインドトレーニング」「試合形式の練習」「予選勝ち抜き」など、目標には書かれていない具体的なアクションを行う必要があります。

目標とは理想の「未来」を描いた青写真のようなもので、それが実現するまでは私たちの頭の中にしか存在しません。これに対して、すべてのアクションは目標が達成されるプロセスで、常に「いまここ」で行われる極めてリアルなものです。

つまり、単なる未来の空想を現実のものにしてくれるのは、どんなときでも個々のアクションだということです。

ところが、私たちはこの事実を忘れて、ゴールや目標を「目的」、そのために行うアクションを「手段」とみなしてしまいがちです。

手段になれば、あらゆるアクションが色褪せます。私たちはいったん手段とみなしたものを心から楽しむことはできません。もちろん、手段に情熱を注ぎ込むことも極めて困難です。

実は、仕事からしあわせを感じられない理由のひとつがここにあります。

私たちの多くが、「お金を得る、家を建てる、安定した生活を送ることが目的。仕事はそのための手段」と考えています。手段である「できればやりたくない」仕事からしあわせを得ようとするのは、そもそもムリな相談なのです。

もし思い当たる節があるなら、ぜひ、次のように認識を変えてみてください。

「ゴールのために行うさまざまなことこそ目的である」

ウェブ検索や封筒の宛名書き、訪問先に行くために道を歩くこと、名刺交換、あいさつなど、仕事で行うすべてのアクションを「いまこの瞬間に行う目的」と捉えるということです。

私たちがゴールや目標として掲げているものは、登山家が頂上に到達したときに見る「景色」のようなものです。未来の絶景を見られるかどうかは「その道のりの、いまここで行うすべてのこと」にかかっているのです。

Photo by Satoshi Otsuka.