計画を手放してもあなたはそれを実現できる

達成したいことや手に入れたいものがあるとき、私たちはまず「目標」を掲げ、その実現に向けた「計画」を立てるのが、あたりまえのやり方だと思っています。

では、そのようにしてできた目標のうち、見事に達成されるのはどのくらいか、計画どおりに物事が進む率はどのくらいかを振り返ってみてください。

個人差はあると思いますが、多くの人の回答はそれほど好成績ではないように思います。そればかりか、自分の計画が思うように進まないことを理由に、「目標」そのものをあきらめてしまったり、計画どおりに実行できない自分に失望したりすることも少なくないはずです。

もし、「そういうことが頻繁に起こる」「ほとんどの計画は途中で頓挫する」と感じているなら、もうひとつの方法を試してみる価値があります。

それは、

「いっさいの計画を手放すやり方」

です。

まず、達成する数字や期限などの入ったいわゆる「目標」はいっさいもたずに、「自分の行きたい方向」だけぼんやりと決めておきます。

ピンポイントで「富士山に登る!」ではなく、「なんとなく山に向かうかな?」程度の曖昧な「あたり」で十分です。

もし、日々の活動の中で、「いま、自分の行きたい方向に歩みを進めてみたい!」と感じたら、具体的にそれがどんなアクションになるかをイメージしてすぐに実行します。

ただし、いつそれをするか、どのくらいの頻度でそれをやるかなどは決めないことにします。「そうしたい」と思ったときにそれをやるだけです。

しばらくして、「自分の行きたい方向」に近づくと、最初は「なんとなく山かな?」程度に見えていた「あたり」が、少しずつ鮮明になっていきます。

「ああ、どちらかというと緑が多めの山かもしれないな」「思ったほど、高くはなさそうだ」など、見えたところをパズルのように組み立てながら、徐々に「行きたい方向」を具体化していきます。

やりたくなったらやる。何かを思いついたらやる。「自分の行きたい方向」が鮮明になったらそのたびに具体化する。ひたすらこれを繰り返すのが、「いっさいの計画を手放すやり方」です。

この方法の最大のメリットは、「自分の行きたい方向」に向かうアクションをひとつでも実行できれば、無条件に「ゴールに近づいた!」と自分を評価できることにあります。

どのような根拠で立てられたかわからない計画と照らし合わせて、「予定よりも3日も遅れている!」「これでは間に合わない!」などと、自分を責める必要もなくなります。

さらに、何かを実行しながら「自分の行きたい方向」を明確にしていくことで、背伸びしすぎた目標や、「他人がもっているのに自分にはない」不足を得るための目標などは立てずにすみます。

もし、あなたの立てた目標や計画が、あなた自身を追い込んでいるように感じたら、思い切って実は精度の高い「いっさいの計画を手放すやり方」にトライしてみるのもひとつの選択肢です。

Photo by Satoshi Otsuka.