私たちは74億種類の異なる階段を昇っている

この世界には約74億の人々が暮らしています。それはすなわち74億の違いが存在することを意味します。その違いは74億の個性となり、それに紐付いた形で74億の役割が生まれます。

一方で、バックナンバー「点から生まれた私たちの価値は完全に等しい」で書いたように、この世界を創り出した「創造のエネルギー」が宿る私たち一人ひとりの根本的な価値は完全に同じです。

この「違い」と「共通点」を合わせて理解することによって、私たちは「人と比べる」という意味のない行為から解き放たれます。

次のように捉えてみてください。

「同じ価値をもつ74億の人々が、74億とおりの道のりを自分の役割に沿って歩いている」

たとえるならば、74億人がそれぞれに与えられた、74億個のまったく違うデザインの階段を昇っているようなものです。

ある人の階段は段差がとても大きく、ある人の階段は段差が小さいけれども段数がすさまじく多い。またある人の階段は平らな坂のようになっているが、別の人の階段はまるで切り立った崖のようにも見える。そんなふうに私は捉えています。

ここにおいては勝ち負けを争ったり競ったりすることになんの意味もありません。

同じ職場の同じ職種の人が相手であってもこのことは変わりません。自分より早く仕事を終わらせる人もいれば、自分より多くの結果を残す人もいるでしょう。

それでも、となりに座る同僚と自分の役割は、似ていることはあっても完全に同じではありません。淡々と自分の階段を自分のペースで昇り続ければいいのです。

もし、「自分よりもすごい……」と感じる人が現れたら、その人ではなく、その人のもつ創造力のほうに注目すべきです。こちらは「違い」ではなく「共通点」のほうです。

もちろん、その創造力はあなたも含めたすべての人がもっているものとまったく同じです。

「私たちが共通してもっている創造力はこんなに素晴らしいことができるんだ!」

と、あらためて自分の可能性のすごさを実感してください。

Photo by Satoshi Otsuka.