高いモチベーションが永遠に続くことはない

「自分のモチベーションが上がらない」「チームのモチベーションが低い」などの悩みをよく耳にします。おそらく私たちは、「何かを成し遂げるためにはメラメラと燃える上がるようなやる気が不可欠!」と信じているのでしょう。

ところが実際には、高いモチベーションとは、揺れ動く気分の上側だけを切り取った呼び名にすぎません。恋愛にたとえるなら「つき合い始めの1か月」の心の状態に似ています。

いうまでもなく、そのような燃える想いが変わることなく永遠に続くことはありえません。

見た目は派手かもしれませんが、ちょっとしたアクシデントやトラブルによって、いとも簡単に逆方向に落ちてしまうのが、高いモチベーションのもうひとつの側面なのです。

これでは、いい仕事をするための「自分がいるべき位置」としてはあまりに不安定です。そもそも、それを持ち続けようとすること自体、無理なことなのかもしれません。

いい仕事をするために、私たちが真に大切にすべきは恐れや不安のない心です。少々のことでは動じない「平安な心」と言ってもいいでしょう。

それがどんな状態かを知るヒントは身近にあります。

あなたのまわりにいる「やる気を表に出さなくても、周囲の状況に左右されることなく淡々と歩を進めている人」に注目してください。一見、地味で普通に見える彼らの「揺れない状態」こそが最良のお手本なのです。

Photo by Satoshi Otsuka.