「いい感じ」を保てなくなったときの対処法

今日は「グッドバイブスを失いかけたらどうすればいいか?」について考えてみたいと思います。

拙著『グッドバイブス ご機嫌な仕事』やこのブログで書いてきたように、「意味づけ」や「罪悪感」を手放し、過去や未来に囚われず、「いまここ」に留まっていれば、「恐れや不安」のない「平安な心」を保つことができます。

けれども、人生は私たちが想像する以上に複雑怪奇です。「これでもう大丈夫!」と思っていたにも関わらず、ふとした出来事や、誰かの発言によって、どうしても「いい感じ」を貫けなくなることがあります。

そうしないほうがいいと頭ではわかっているのに、自分を取り巻く状況に負の意味をつけずにはいられなくなったり、望ましくない未来の想像が止められなかったり、あえて罪悪感をもちたくなったりしたとき、どうすればいいのでしょうか。

まずは、あなたの中に2人の自分がいることを思い出してください。

「考えている自分」と「大きな自分」

です。

「考えている自分」は文字どおり、「意味づけ」をしたり過去や未来を思い悩んでいる自分です。「大きな自分」はその様子を俯瞰的に眺め、それらが「恐れや不安」を生み出すただの幻想であることを教えてくれる自分です。

ここで重要なのは、

「考えている自分は自我である」

と認識することです。

「自我」は拙著に登場する「バラバラ意識」の中で、つねに「自分だけは」「自分のために」といった我欲を元にすべてを判断しようとします。

さらに「自我」は、頭で想像する最悪の事態こそが現実だと信じています。その前提で、

「この最悪の状況を自分だけでなんとかしたい」

と望んでいるのです。

これに対して、拙著やこのブログに書いているやり方は、もうひとりの「大きな自分」に「意味づけ」や思考をすべて預け、「自我」が大好きな「恐れや不安に基づく選択」とは別の可能性を導き出そうとするものです。

「自我」はこのような方針を徹底的に嫌います。なぜならば、

「大きな自分に主導権を奪われることを何よりも恐れている」

からです。

先に書いた「わかっているのに意味づけや罪悪感を手放せない状態」とはつまり、

「あなたの自我による最後の抵抗」

だと思ってください。

「考えている自分」、すなわち「自我」がここで講じることができる唯一の手段は、あなたに恐怖を見せつけることです。そうしておいて、これまでどおり「恐れや不安に基づく選択」のほうが安全だと思わせたいのです。

これを、

「自我の誘惑」

と捉えてください。

この誘惑に打ち克つ方法は、まず「大きな自分」で現状を正しく見直すことです。

「いま生きているじゃないか」
「いま、なんとかやれているじゃないか」
「いま、破滅的な出来事は起こっていないじゃないか」

これだけで「自我」があなたに見せようとした「恐れや不安」は和らぎます。

次に、「自分だけでなんとかしたい」という「自我」の主張を受け入れずに、あなたの身近にいる家族や友人、同僚などに助けを求めることを自分に許してください。同時に、流れや幸運といった「自力」以外のあらゆるサポートも視野にいれておきます。

そのうえで、これまた「自我」が大好きな「一刻も早く」といった「時間の制約」を取り除きます。ゆったりとした時間の流れの中で、けっして焦らず、ゆっくりとていねいにひとつずつ問題を修正してみてください。

人生において、真に努力すべきこと、本当に戦わなくてはならないことは次のひとつしかないと私は確信しています。

「自我の誘惑には絶対に負けないと決意すること!」

うまくいっているときに「いい感じ」でいることは簡単です。ぜひ、絶体絶命の困難に思える状況に遭遇したときこそ、誘惑に負けずに「グッドバイブス」を貫きとおしてください。

Photo by Satoshi Otsuka.