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得た瞬間に興味を失う「相対欲」を棚卸そう

2019年もそろそろ前半を終えようとしています。あなたにとってどんな半年だったでしょうか。もしかしたら、年初に「今年は絶対にこれをやる!」と決めたことが数多くあったかもしれません。それはどのくらい実現したでしょうか。

もし、「思ったほどできていない」「未着手のものが山積みになっている」といった状態なら、来月から始まる後半の準備として「やりたいことの棚卸し」をしておくのがいいかもしれません。

今日は、そのための目安となる「相対欲」と「絶対欲」について書いてみようと思います。どちらも「これがしたい!」「これがほしい!」「こうなりたい!」という欲なのですが、その性質や目的は大きく異なります。

「相対欲」とは、

「他の人はもっているのに、自分がもっていないもの」

をほしいと願う欲です。

もっともわかりやすい例はやはり子どもでしょう。昨日までまるで興味がなかったのに、新しいおもちゃを買ってもらった友だちがクラスで注目を浴びているのを見て、急に「ボクも同じものがほしい!」と言い出すあの感じです。

「あの人は英語がペラペラだ」「あの人には何万人というフォロワーがいる」「あの人はお金持ちだ」「あの人は成功している」「あの人は知名度が高い」など、他の人のもっている何かを見て、「うらやましい。私もそうなりたい!」と思ってしまう心理は、大人になってもまったく変わりません。

他の人と「比べる」ことで生まれる欲、すなわち相対的な欲です。この「相対欲」の最大の特徴は、

「かならず不足感から始まる」

ところにあります。

別の言葉で表すならば、「もっていないことの恐れや不安を消し去りたい!」と願う気持ちが動機になっていると言ってもいいでしょう。

そのため、目当てのものを手に入れたときに感じるのは、喜びというよりも、

「安堵感」

に近いものになります。

ここがややこしくて自覚しにくいのですが、「相対欲」が本当にほしがっているものは、英語力やフォロワーやお金や知名度そのものですはなく、

「それを手に入れることで、不足を感じなくなった自分」

であるという事実に注目してください。

子どものころ、両親に「ボクも○○君と同じものがほしい!」と言ったときの気持ちを思い出してみてください。幸運にもそれを買ってもらえた瞬間は、小躍りして喜んだことでしょう。けれども数週間も経つころには、あれだけほしかったものが、床に放置されたまま埃をかぶっていなかったでしょうか。

これが「相対欲」によって得たものの末路です。対象そのものに興味があったのではなく、「不足を感じなくなった自分」がほしかったのだから、当然といえば当然の結果です。

つまり「相対欲」とは、

「手に入れた瞬間に、対象への興味を失うことになる欲」

でもあるのです。

このような世界では、ひとつの対象を追い求める行動に継続性はありません。その代わりに、「よし、これはなんとかゲットした。他に自分がもっていないものは何?」と、次の不足を埋めるための単発の努力が繰り返されることになります。

その結果がどうなるかぜひ、リアルにイメージしてください。おそらくそこには、いわゆるオタク、マニア、その道の達人といった人たちと真逆の、薄くて深みのないキャラクターがひとつできあがるはずです。

一方の「絶対欲」は、ここまで長々と説明する必要もない、ごくごくシンプルな欲です。それは「これがほしい!」「これがしたい!」と、

「心の奥底から叫びたくなるような欲」

にほかなりません。

「絶対欲」は、誰かがもっているからとか、それがトレンドだからとか、もっていれば評価されるからとかの相対的な価値感とはいっさい無縁です。

たとえ変人扱いされようと、時代遅れだろうとまったくおかまいなしで、ただそれがほしい、それをしていたいというだけのピュアな願望です。

その特徴は「相対欲」とは真逆と言ってもいいでしょう。「恐れや不安」を伴う不足感ではなく「ワクワク」からすべてが始まります。興味があるのはもちろん、その対象自体です。

そしてこちらの世界は十中八九、

「手に入れた瞬間から、対象への興味は増す一方」

になります。

当然ですが、継続性も極めて高くなります。場合によっては、一生を通じてそれを極め続けることもけっしてめずらしくありません。まさに先に挙げた、オタク、マニア、その道の達人を生み出す欲なのです。

さて、2つの欲の違いがわかったところで、今日のテーマに戻りましょう。「やりたいことの棚卸し」です。

もしあなたが、「やりたいことがたくさんありすぎて、時間がいくらあっても足りない」と感じているなら、思い切ってそのリストから「相対欲」にあたるものを削除してみてはどうでしょう。

もちろん、「相対欲」なのか「絶対欲」なのか見分けるのが難しいグレーゾーンはたくさんあります。たとえば、「兄や姉がやっているから自分もやってみたい!」と思って始めたことに、彼ら以上にハマってしまうこともあるでしょう。

判別のポイントは、動機に「他人との比較」と「不足感」が含まれているかどうかです。自分の「やりたいことリスト」に思い当たる節があるものを見つけたら、こう自問してください。

「これを得たときに感じるのは安心か、ワクワクか?」

答えが「安心」なら、あなたはそれをゲットした瞬間に、興味を失う可能性が極めて高いと思っていいでしょう。だとしたら、そのことに多くの時間と労力を費やす価値があるかを、冷静に検討してみてください。

「相対欲」を削除したら何も残らないこともあるでしょう。それはある意味、とても幸運なことだと思います。なぜならば、「自分はひとつの絶対欲を見つける代わりに、いくつもの相対欲でその穴を埋めようとしていた」という重大な事実に気づけるからです。

それを得ることにメリットがあるか、お金になるか、スキルアップになるかなどの損得勘定からは、「心の奥底から叫びたくなるような欲」は生まれません。そしておもしろいことに、あなたが本当にほしいと望むものは、実は「絶対欲」によってもたらされることのほうが多いのです。

Photo by Satoshi Otsuka.

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