いまその仕事をしていることは偶然ではない

いまの職場に強い不満をもっていたり、いまの仕事が自分に合っていないと感じる人にとっては、「とにかく目の前の仕事に本気モードで取り組め」などと言われても、ただ怒りが込み上げるだけだと思います。

けれども、もしあなたがいまその場所で働いていることが偶然ではなく、私たちの予想をはるかに超えた意味や可能性があるとしたらどうでしょう。

私たちの仕事はひとりだけでは完結しません。そこには少なくとも、「自分の仕事を受け取る人」「自分に仕事を依頼する人」「自分と共同で仕事をする仲間」が存在しています。

これに加えて、名前も顔も知らない数多くのキャストがあなたの仕事に関わっているはずです。そのすべての人々が、あなたの次の行き先に少なからず影響を与えると捉えてみてください。

あらゆる関係を断ち切って、人生をリセットしながら新天地を探すやり方が完全に間違っているとは思いません。けれども、大切な何かをその価値も知らずに捨ててしまっている可能性もゼロではないのです。

個性と役割が完璧にマッチする「しあわせな役割」にたどり着くまでのプロセスは、私たちが想像するよりもはるかに複雑で、まさに人智を超えた世界です。

ここで重要なのは、「人生に無駄なことなどひとつもない!」という事実をしっかりと認識することです。

それは、あなたが目指す方向とはまったく関係ないように見えることでも、「いま自分の目の前にそれがある」こと自体に意味や価値を感じ、けっして軽く見たりいい加減に流したりしないことでもあります。

いつまでいまの仕事を続けるのか、次はどこへ行くべきなのか、答えは頭で考えて出せるようなものではありません。

あれこれと悩む前に、本気モードによってどんな景色が見えるか、どんなヒントが降ってくるか、まずは目の前の仕事を実験台にして試してみてください。

Photo by Satoshi Otsuka.