「好きなこと」や「得意なこと」を仕事にできれば、「好きこそものの上手なれ」の言葉どおり自分の能力を遺憾なく発揮し、たとえ大変なことであっても、楽しい感覚を失わずにやり遂げられるようになります。
ただし、仕事全体をまるっと見渡して、それが好きかどうかを判断しようとしても答えはなかなか見えてきません。なぜならば、ひとつの仕事は無数の要素から成り立っているからです。
言い換えるならば、「好きなことや得意なことだけで完結する仕事などない」ということです。
このことは、恋愛の相手や親友を見つけるのに似ています。あなたが誰かを好きになる課程をイメージしてみてください。たとえ一目惚れだとしても、出会った瞬間に相手のすべてに惚れるなどということはごくまれなケースだと思います。
通常は、仕草や言動、ものの捉え方や考え方などの「ひとつのスペシャルな要素」からその人に惹かれ始めるのではないでしょうか。
そうして誰かを好きになったとしても、苦手なところがまったくないような完璧な人はまずいません。「ああ、この人のこれがなければなぁ」と嘆きながらも、惹かれる部分、キラリと輝く部分がいつも難点を帳消しにしてくれます。
仕事と「好き」の関係もまさにこれと同じです。
職種や業種や業界のラベルからは、「好きかどうか?」の答えは出てきません。個々の会社、さらにその中の部署や担当を細かに見て、実際にその仕事を体験しながらあなたの「好き」を発見していくしかないのです。
つまり、「好きなこと」と仕事の至福のマッチングは、ただ探すだけでは見つけられない、「やってみるまでわからない世界」ということです。
ということは、最初の糸口は、いまあなたが就いているその仕事なのかもしれません。最終的なゴールではなくても、その仕事から惹かれる部分、キラリと輝く部分を見つけられる可能性を日々、手にしているからです。
その意味で、ぜひいまの仕事を「本気モード」でやってみてください。本気でやらなければ、その仕事に含まれている「本当の楽しさ」はわかりません。
もし、目の前の仕事からひとかけらでもあなたの「好き」や「得意」が見つけられれば、間違いなくそれが次のステップへの手がかり、足がかりとなるはずです。
Photo by Satoshi Otsuka.
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