「他人の評価」とどう向き合えばいいのか?

今日は、多くの人にとって悩みの種でもある「他人の評価とどう向き合えばいいか?」について考えてみようと思います。

まず、あらゆる評価に向き合う際に、忘れてはならないことがあります。

「あなたの価値は他人の評価で決まるわけではない」

という事実です。

理由は2つあります。ひとつは拙著『グッドバイブス ご機嫌な仕事』や、バックナンバー「いろいろと手放したあと何を頼りにするのか」で書いたように、私たちは生まれた瞬間から、他の人たちと完全に等しい「絶対不変の価値」を手にしているからです。

ふたつめは、人によってあなたに対する評価は大きく異なるからです。賛否両論という言葉があるように、場合によっては真逆になることさえあります。

他の人々を「自分の価値を映し出す鏡」とみなしてしまうと、相手によって千変万化するあなたの姿に翻弄され、かならず自分自身を見失うことになります。ぜひ、「自分の価値は何があっても変わらない」という事実を忘れないでください。

そのうえで、私たちが「評価」と呼ぶものには似ているようでいて、実は根本的に異なる2つのものが含まれていることを認識しておきましょう。私はそれぞれを次のように呼んでいます。

「愛のない反応」
「愛のある評価」

両者を見分ける方法はとても簡単です。たとえば、あなたの仕事に対して、社内の人やお客さんから評価らしきものを受けたとします。その言葉の中に、

「で、どうすればいいの? の答えがあるか」

を確認してください。

「で、どうすればいいの?」の答え、すなわち提案を見出せないものはすべて「愛のない反応」です。わかりやすいようにいくつかの例を挙げておきます。

「はっきりいってクソだ」「まったくなってない」「おもしろくない」「オリジナリティーのかけらもない」「ダサい、時代遅れ、センスゼロ」「ダメダメ! それじゃ売れない!」

どれも、「で、どうすればいいのか?」がまったくイメージできないものばかりです。このような「愛のない反応」はいっさい気にせず、すべてスルーするようにします。

ただし、実際にこのような言葉を投げかけられたら、数時間か数日は心を痛めてノックダウン状態が続くことでしょう。私もまったく同じです。けっして打たれ強いほうではありません(笑)。

けれどもここが勝負どころです。グッと歯を食いしばって、自分にこう問いかけてください。

「このような反応によって、私の仕事に何かいい影響がもたらされるだろうか?」

答えは絶対に、完全に、圧倒的に「NO!」です。

これが「愛のない反応はすべてスルーする」理由です。それは私たちに気を病むこと以外に何ももたらしません。だとしたら、そんな「ノイズ」のようなものには余計な「意味づけ」をせず、すべて受け流す習慣をつけておくのが得策です。

もうひとつの「愛のある評価」は次のように定義されるものです。

「創り手同士、または創り手と受け手の間で交わされる、同じ目的のためのピュアなコミュニケーション」

「同じ目的」とは、創り手の「いい仕事を届けたい!」と、受け手の「いい仕事を受け取りたい!」という、結果として一致することになるゴールのことです。

創り手同士、または創り手と受け手が、まるで共同作業をしているかのように共通のゴール実現に向けてコミュニケーションする。その具体的な手法が「評価」だと捉えるのです。

そこにはかならず「で、どうすればいいのか?」の答えが含まれています。たとえば、クレームのような形で、直接その中身が表現されていない場合でも、改善のためにできる具体的な何かをあなたに閃かせてくれるものはあります。

そのような提案は、すべて「愛の選択」によってなされたものとして、どれだけ自分の主義主張と異なるものであっても、いったんは受け入れるようにします。

ただし、あなたが「愛のある評価」を活かせるのは「次の仕事から」という事実を忘れないでください。評価が下された仕事はすべて「過去の出来事」です。どれだけ「しまった!」と悔やんでも、どれだけ深く反省しようとも、終わったことに手を加えることはできません。

何もしていない時間にそのような過去について思い悩むことは、ただエネルギーを消耗するだけで何も生み出さない無意味な行動であることをしっかりと認識しておいてください。

それがどれだけ厳しく辛辣なものであっても、「愛のある評価」を受け取ったこと自体に意味があります。落ち込みそうになったら、自分にこう言い聞かせます。

「そうだ。この悔いを残した仕事のおかげで、次に何をすべきかわかったんだ!」

そうして、「で、どうすればいいか?」の答えを次の仕事に反映させられる瞬間を、心穏やかに待ちましょう。

その「いまここ」がやってきた際には、思う存分に「愛のある評価」から見出した改善点を目の前に仕事に叩き込んでください。そうして出されたアウトプットを眺めるとき、過去に感じた後悔がスッと消えていき、自然と癒されている自分がいることに気づくはずです。

Photo by Satoshi Otsuka.