私が行っているセミナーやパーソナルセッションで、次のような相談を受けることがあります。
「ひとりでいるときはグッドバイブスでも、家庭や職場に不機嫌な人やすぐに怒る人、部下を怒鳴り散らす人、自分を攻撃する人がいたとき、それに影響されていい感じではいられなくなります」
あるいはもっと前向きに、
「どうすれば、自分のまわりにいるよくない感じの人をグッドバイブスに変えられるでしょうか?」
といった疑問をもつ人もいます。
今日はそんな、「グッドバイブスな人のための、バッドバイブスな人への対処法」について書いてみたいと思います。
まずは、あなたがどのようなプロセスを経て「いい感じ」の波、すなわち「グッドバイブス」を携えられるようになったかを思い出してください。
拙著『グッドバイブス ご機嫌な仕事』では「意味づけを手放す」など、そのためのメソッドをいくつか紹介していますが、そのゴールは、
「恐れや不安のない平安な心」
をもつことでした。
つまり、あなたが「グッドバイブス」でいられるとしたら、あなたの中には「恐れや不安」がなく、心はいたって穏やかで平安な状態であるということです。
この仕組みさえわかってしまえば、周囲にどれだけバッドバイブスな人がいたとしても、基本的には同じ方法で対処できるようになります。
もし、あなたのまわりに不機嫌でいたり、怒りをぶつけたりする人がいたら、その程度の如何に関わらず、ごくごくシンプルに次のように捉えてください。
「この人はいま恐れや不安を抱えて、心が平安でなくなっているんだな」
このとき重要なのは、「怒っている=恐い人」「ひどいことをする=意地悪な人」のように、相手の言動をその人の人格と捉えないことです。
もし、そのように相手を見れば、必然的にあなたの中にも「恐れや不安」が生まれます。残念ながらその瞬間に、あなたはもう「グッドバイブス」ではありません。そうなれば、せっかく携えたあなたの「グッドバイブス」を相手に伝播することも不可能になってしまうのです。
どれだけいい人でもあっても、聖人君子のような人であっても、「恐れや不安」を抱くことで本心とは裏腹の不本意な言動をしてしまうものです。ぜひ、あなたにも一度や二度はそのような経験があることを思い出してください。
発した言葉、行った行為そのものには解決の糸口はありません。そのような言動を生じさせた彼らの「恐れや不安」だけに注目してください。
どんなときでも、あなたが最初に行う具体的な行動は次のことです。
① バッドバイブスな人が抱いている恐れや不安の正体を真剣に探る
あなたを怒鳴りつけている上司や、あなたを不機嫌にさせる家族をじっと眺めながら、「この人はいま何が恐いのだろう?」と「恐れや不安」の源泉を探すことだけに集中するということです。
「自分がミスをすることで、上司としての責任を問われることが不安なのか」
「自分が家事を手伝わないことで、もっと疲れることを恐れているのか」
など、何らかの答えは見つかるはずです。
ここであなたは大きな岐路に立っていると思ってください。2つの選択肢が目の前にあります。そんな彼らをそのままにしておくのか、それとも冒頭の質問のように「グッドバイブス」になってほしいのか、どちらでしょうか。
無理は禁物です。現実には前者を選ばざるを得ない場面も多々あるでしょう。もし、それほど悩むことなく後者の道を選ぶと覚悟を決められたら、次の行動に進みます。
② バッドバイブスな人が抱いている恐れや不安を取り除く手伝いをする
先の例でいうならば、上司に「自分がミスをすることの影響は十分にわかったので安心してほしい」と伝えることかもしれません。家族に「いままで手伝えなくてすまなかった」と謝って、その場でひとつでも家事を行うことかもしれません。
私の友人に、長いことある同僚に嫌がらせをされているという女性がいました。この方法を伝えたところ、さっそくその同僚と話す機会を作り、ストレートに「私たちの関係はあまりうまくいっていないと思うのだけど、私はあなたの気に障ることを何かしているでしょうか?」と聞いてみたそうです。もちろん、いたってやんわりとです(笑)。
さすがに、最初は相手もなかなか心を開いてくれなかったようですが、粘り強く話しているうちに、最後には「実はあなたのことが恐かったんです」と告白してくれたそうです。もちろん、その後、同僚の不機嫌な言動はなくなりました。
どれだけ複雑に見える場面でも、私たちには「恐れや不安に基づく選択」と「愛に基づく選択」の2つの選択肢しかありません。そして、いつでもどのような状況であっても、
「恐れや不安に基づく選択をする人は愛を求めている」
のです。
この不変の法則を理解することが、そのまま「グッドバイブスな人のための、バッドバイブスな人への対処法」だと私は考えます。
Photo by Satoshi Otsuka.
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