手段を選ばずに「手を抜けない状況」を創る

時間が足りなかった、気力や体力が充実していなかったなど、さまざまな理由によって、私たちは自分の実力を大きく下回る仕事をしてしまうことがあります。

今日はそんな「やっつけ仕事」について考えてみたいと思います。

まずは次のことを自問してみてください。

「私たちは何によって仕事にやり甲斐や手応えを感じることができるか?」

個人差はあるでしょうが、私ならその答えとして次の2つを挙げます。

① 自分の仕事を受け取った人が「これは役に立った!」と喜んでくれること
② 「これはいいものができた!」と自分の仕事の出来に納得できること

①によって私たちは、「たしかにこれが私の果たすべき役割なのかもしれない」と自分の存在価値のようなものを確信できるようになります。

また②は、仕事に費やしたあらゆる労苦を癒してくれるとともに、自分の中に「次はもっといい仕事をしたい!」という前向きな気持ちを生み出してくれます。

つまり、できれば①と②が同時に、それが無理ならどちらか一方は実現していることが、「ご機嫌な仕事」を続けられる条件でもあるわけです。

同然ですが、「やっつけ仕事」では①も②も起こりえません。

もし、あなたがいまの仕事からやり甲斐や手応えを感じられないとしたら、まわりの環境や適性などをその原因と考える前に、この「やっつけ仕事」による悪循環に陥っていないかを疑ってみるべきなのです。

「ああ、そうかもしれない」と思ったら、次の2つの対処方法にトライしてみてください。

ひとつは、

「仕事に着手する前に感じる恐れや不安を手放す」

ことです。

「やっつけ仕事」を生み出す最大の要因は「時間切れ」です。そして多くの場合、絶対的に時間が足りないからではなく、着手が遅れることによって、私たちはそのような状況に追い込まれることになります。

ではなぜ、私たちはギリギリのタイミングまで仕事に取りかかろうとしないのでしょうか。理由はズバリ、

「やりはじめたら苦労するに違いない」
「自分の実力が追いついていないかもしれない」
「きっと思いどおりのものにならない」

などの「恐れや不安」を抱いてしまうことにあります。

拙著『グッドバイブス ご機嫌な仕事』やこのブログで繰り返し書いてきたように、すべては根拠のない「意味づけ」、すなわち幻想です。

そんなものによって動きを止めるメリットなどないと素直に受け入れて、着手前に「意味づけ」してしまう習慣をキッパリと手放しましょう。

対処方法のふたつめは、

「自分と仕事とを分離させないようにする」

ことです。

自分のした仕事を「できれば二度と見たくない」と感じるとしたら、間違いなくあなたと仕事は分離しています。これを繰り返していると、どんな仕事であっても最後には「つまらない」「やりたくない」と感じるようになります。

もし、なんらかの理由で「このままだとやっつけ仕事になる!」と気づいたら、

「どうすれば、この仕事を自分の分身のように感じる出来に仕上げられるか?」

を自問してください。

場合によっては、上司や同僚に期限を延ばしてくれるよう頼む必要があるかもしれません。勇気をもって他の予定をキャンセルすることも選択肢のひとつです。

二度と見たくない仕事を残さないために、手段を選ばないくらいの覚悟で、とにかく「手を抜けない状況」を創り出すことにこだわってみてください。

Photo by Satoshi Otsuka.