今日は「自分がどういう存在で、どんな役割を担う人物かを知る方法」について考えてみたいと思います。
いろいろなことにチャレンジしたり、周囲の人たちに聞いたりしながら、「自分は何者なのか?」の謎を解き明かそうとしても、なぜか明確な答えが見つからない。そのうちに、「もし、自分が何の取り柄もない人間だとしたらどうしよう……」といった、不安さえ込み上げてくる。
多くの人がそんな心細い経験をしているはずです。では、いったいどうすれば、私たちは自分自身をしっかりと把握できるようになるのでしょうか。
まず、次の3つのことを受け入れる必要があると私は考えます。
「頭で考えるだけでは、自分がどんな存在であるかは永遠にわからない」
「他人と比較することでその答えを得ようとしても、永遠にわからない」
「自分がなりたい存在と、自分がどんな存在であるかは同じとは限らない」
私たちが暮らすこの世界には、かならず「その時代ごとの価値観」があります。このトレンドようなものによって、いま何をする人がより評価されるのか、いまどんな実績を残せばもてはやされるのか、いまどんな存在がより得をするのかなどが決まります。
当然ですが、誰もが「できれば、自分はトレンドに乗っている存在であってほしい」と願っています。けれども、そのような「理想の自分」と「現実の自分」がかならずしもピタッと一致しているとは限りません。
そして、その両者が少しでもズレているように感じると、私たちは自分自身を正しく描く筆を止めてしまいたくなるのです。
この「自分は何者なのか?」を見えにくくする「ノイズ」のようなものを手放すために、先の3点を受け入れてみてください。
そのうえで、焦点を自分だけに当てるのをやめ、次のことを自問してみます。
「私が何をすると、誰が喜んでくれるんだろうか?」
将来的にではなく、まさにいま目の前にある事実をもとに「何」と「誰」を埋めてみてください。もし、「どちらも具体的な答えが浮かばない」と感じたら、過去にさかのぼってもかまいません。
「私が何をしたとき、誰の役に立っただろうか?」
仕事だけでなく、家庭やプライベートでのあなたの行動や、学生時代、子どものころの思い出まで騒動員してかまいません。とにかく、こじつけでも無理やりでもいいので、ひとつ以上の答えを見つけてください。
答えが出たら、それを「自分は何者なのか?」を探る下書きのようなものと捉えておきます。それ以降は、どんなときでも「何」と「誰」を意識しながら行動してみてください。
もし、新たな「何」と「誰」が見つかったら、下書きの上にペンで本書きをするようなイメージで、描写の線を濃くしていきます。
「あなたと、あなたの仕事を受け取る人との関係の中から、あなたとは何者かを浮かび上がらせていく」
といってもいいでしょう。
もしその絵が、先のトレンドのような価値観からズレているように感じたとしても、まったく気にすることはありません。
もしかしたら、
「自分は、次のトレンドを先取りしているのかもしれない!」
「自分は、トレンドを超えた普遍的な価値を提供しているのかもしれない!」
くらいに捉えておけばいいのです。
ぜひ、自分だけで自分を定義しようとせず、「ノイズ」にだまされることなく、この世界と一体となった状態であなた自身に向き合ってみてください。
Photo by Satoshi Otsuka.
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