自分と一体の世界の中でしあわせを考え直す

森で楽しく暮らす一匹のリスを捕まえてきて、実験室の檻に入れた状態で「このリスが健康に生きるためには何を与えればいいか?」「このリスの精神状態を良好にするためにはどんな環境を用意すればいいか?」などを解明する研究を行ったとします。

はたしてこの実験をとおして、リスにとっての有効な答えがわかるでしょうか。

一見、滑稽な話に見えますが、実は私たちも日々似たようなことを行っています。

たとえば、私たちが「どうすれば自分はしあわせになれるか?」を考えるとき、その焦点は自分自身だけに当たっています。頭の中に浮かぶのは自分の状態や自分の気持ちだけです。

それはまるで、真っ暗な部屋にひとりポツンと置かれた自分を眺めながら、彼のしあわせについて研究しているような感じではないでしょうか。

このとき、私たちは自分自身を世界と切り離して眺めています。

森で暮らすリスと同じように、私たちもまた、他人や周囲の環境を含む「この世界」の中で生きています。そして、生態系として見れば森とリスが「ひとつの生命」であるように、私たちもまた「この世界」と一体なのです。

切り離された自分ではなく、私たちにさまざまな恩恵を与えてくれる、他人も含めた「この世界」の中で生きる自分を想像しながら、あなたのしあわせについて考えてみてください。

あなたが本当に必要としているものや、あなたがこの世界ではたせる役割を見つけるヒントがここにあります。

Photo by Satoshi Otsuka.